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「中国思想」は日本にどこまで受容されているのか 「礼」の本質は「かのように」振る舞うということ

東洋経済オンライン / 2023年12月8日 10時0分

伝統や文化に対して、それと対決するのではなく、ある程度踏まえつつ、現状に合わせて違う方向から批判的に活用するような知のあり方が広まれば、日本のインテリのイメージがマシになるんじゃないかと思います。

中野:施さんに反論するわけではないですが、西洋がわれわれの伝統から遠いのは確かですね。でも、中国思想がそれより近いかっていうと、私は等距離だと感じています。西洋思想にも共和主義があるし、ヒューム的な社会科学も孔子の「礼」の思想に似ていると私は解釈しています。一方で、知識人の存在が幅を利かせる国かどうかについて言えば、先ほど議論したように、中国と日本は全然違うと思います。

日本の儒学を学んだ人たちが西洋思想を受け入れたのは、儒学と西洋思想が等距離だったからかもしれません。

中国や朝鮮はより儒教に傾いていたのでかえって西洋の近代思想を受け入れられなかったという可能性がある。日本がいろんなものを咀嚼してきたのは、儒教をマスターしていたからではなく、どの舶来思想も、儒教と同じくらいの距離として見ていたからかもしれません。

だから、日本はアジアの一員だと言っているけど、実際にはアジアの一員でも西洋の一員でもない。私たちは変わった連中なんじゃないかと思っています。

中国思想を現実に応用する意義

施:わかるんですが、私が言いたかったのは、日本には中国思想を勉強してきた長い歴史があって、明治以前から勉強してきたんです。だから、中国思想を長く勉強してきた蓄積が日本にはあるわけで、それによって明治維新以前とのつながりを知識人が取り戻せるかもしれません。知識人だけじゃなくてもいいんですけどね。こういう本がもっと出てくると、ちょっとスタンスが変わってくるんじゃないかと思っています。

中野:過去を安易に否定して恰好つける、という風潮は払拭できるかもしれませんね。

大場:お褒めいただきありがとうございます。日本における中国思想研究では、現実の社会分析に活かそうということが伝統的に少ない中で、こういう本を出せたことには意義を感じています。

佐藤:現実との接点を持たない思想は、生命力を失って形骸化するのがオチですからね。ぜひこうした本が増えてほしいところです。

中野:本日は大変勉強になりました。どうもありがとうございました。

「令和の新教養」研究会

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