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「そこそこの会社で正社員」はやめたほうがいい 「AI資本主義時代」に若者が大成功する方法とは

東洋経済オンライン / 2023年12月9日 8時30分

AIの前では、藤井聡太八冠といえども勝つのは難しい。ではAIがますます発達する時代に、野心のある若者が成功するにはどうすればいいのか(写真:東京スポーツ/アフロ)

近年、AIの発達を巡る議論と、資本主義論がかまびすしい。AIは今後も大いに発達するだろうが、AIの発達によって資本主義は影響を受けるか?

資本主義のポジショニング・マップを考えてみよう

AIの発達はどのような形でわれわれの前に現れるのか

筆者は、次のように考えた。AIは、人間の能力を拡張するだけであって、AIを使う人間の側にはリスクを取る人と取らない人がいて、後者が安定した雇用と報酬を求めて安く働くことによって価値(カール・マルクスの言葉なら剰余価値)を提供することは変わらない。

あるいは低利でも確実に運用したいと思って、預金や債券を通じて安い資本を提供して、彼らが価値を提供することも変わらない。資本を提供する形でリスクを取る人が巻き上げていくことで利益が生じる経済循環の本質は変わらないのだろうから、資本主義はしぶとく残ると考えていた。

ところが、ふとした拍子に、筆者は自分の読みに見落としがあることに気づいた。単なる思いつきの思考実験なのだが、AIの発達とAIの完全な民主化と言えるような普及は、資本主義を殺すのではないだろうか。

AIの発達は、どのような形でわれわれの前に現れるのか。それは、全知全能の正解を知った、世界の問題を解いた者として現れるのではなく、人間よりもましな意思決定ができる判断力として現れる。

将棋のようなゲームがわかりやすい。今や、人間で最強の藤井聡太八冠よりも、ソフトを積んだパソコンのほうが強い。しかし、ソフトといえども、将棋というゲームの必勝法を解ききったわけではなく、「手が深く読める」「読みが速い」「疲れない」「ビビらない」「見落としが少ない」といった要素で形成される総合的な能力・判断力で、人間に勝つ確率が高いというだけだ。

「シンギュラリティ」という言葉を使うと大げさだが、AIにも弱点がある状態で、しかし、人間よりは能力が高いものとして現れて、徐々に能力を高めていき、やがては人間側が競争を諦めて、研究用に使うようになる。

そこで、さきほどの要素を見直したときに気がついた。AIが「ビビらない」ことは、あまりに重要ではないか。

つまり、人間が自分の働き方や資産の使い方に関する判断をAIに任せると、経済に利潤を提供するはずのリスク回避的な労働者や運用者が、適切なリスクを取るようになってしまうではないか。資本に利潤を提供してくれる「カモ」がいなくなってしまう。

そして、もう一つ変化が生じる。AIが進化し、個人がこれを広く利用できるとすると、稼ぐ能力の主たる源泉である知的な力に「差がつかなくなってしまう」。参加者が皆、藤井八冠よりも強いAIソフトを載せたパソコンを持って来る将棋大会を想像されたい。大会自体が、無意味になる。

「会社は誰のものか?」と考えるのは正しい?

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