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「そこそこの会社で正社員」はやめたほうがいい 「AI資本主義時代」に若者が大成功する方法とは

東洋経済オンライン / 2023年12月9日 8時30分

「会社は誰のものか?」という古くからある問いについて考えてみよう。これは、そもそも会社は「もの」ではないから、この問い自体が「カテゴリー・ミステイク」(哲学者ギルバート・ライルの言葉)なのであって、「株主のもの」「社員のもの」「ステークホルダーのもの」、などと考えること自体が愚かだ。

では、会社とは何か。

会社とは、他人を利用し合うことを目的とした人の集まりだ。経営者は労働者を利用するし、労働者もまた経営者を利用するし、会社の中のメンバー同士も営業、総務、財務、人事など、異なるスキルを持ったメンバーをお互いに利用し合う。

利益の獲得自体を集まりの「目的」とするという建て付けで会社を作ることも可能だろうが、もう少し気取って整理させてもらうと、「利益」は会社の存続条件であり、「目的」をより良く達成するために重要な「手段」であるにすぎない。

では、目的とは何だろうか。最終的には、誰を顧客として、どのようなメリットを提供するのかに落ち着くべきものだ。この「事業立地」(経営学者の三品和広氏の用語だったと記憶する)の選択こそが、唯一「戦略」の名に値する経営行為だ。

経済力の格差はどこで生じるか?

さて、将来はAIが「リスクにビビる心」と「知的な能力の差」をつぶすときが来るかもしれないとして、現状はどうなっているのだろうか。社会を構成する個々のメンバーの経済力の格差はどこから生じているのか。

1つには、人的資本までを含めた自分の資産でどれだけリスクを取るのかだ。リスクを回避したがる者が提供する価値を、リスクを取ってもいいと思う者が吸い上げるのが経済循環の仕組みであり、私有財産たる資本にリスク・テイクの対価を帰属させ、これに株式投資を通じて参加することができるのが、現在の資本主義の仕組みだ。

投資家、資本家は、リスクを取っているのだから、少しも悪いことをしているわけではない。全体は契約の合意のうえに成り立っている。そこで、資本の収益力が働いている。

また、もう1つ収益力の源泉がある。それは、リーダーシップだ。形は会社ばかりとは限らないが、会社的な人の集まりでは、そもそも集まる目的を考案し、集まり全体の戦略を考え、人の集まりをコントロールするリーダーが1人ないし少数必要だ。通常の人の集まりでは、彼らがより大きな経済的対価を取ることが納得されやすい。

会社なら、社長が少々多い、社長らしい報酬を受け取り、社長室や秘書を持つくらいのことは納得されるだろう。軍政のような社会の軍のトップなら彼(彼女)には大きな権力と共に、富も配分されるだろう。リーダーシップが得る「権力リターン」だ。国によっては、書記長や主席などと名乗りつつ、実質的には「王」のような人物が君臨し、その周囲に富が集中する。

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