地球に迫る「大量絶滅」生き延びるための処方箋 ジェレミー・リフキン氏 スペシャルインタビュー
東洋経済オンライン / 2023年12月20日 8時0分
ジェレミー・リフキン(Jeremy Rifkin)/経済社会理論家。経済動向財団会長およびTIRコンサルティング・グループ代表。ペンシルベニア大学ウォートンスクール上級講師。欧州連合、中国など各国の首脳・政府高官のアドバイザーを歴任
鳴動する政治。終息しない戦乱。乱高下する市況。その先にあるのは活況か、暗転か――。
『週刊東洋経済』12月23-30日 新春合併特大号の特集は「2024年大予測」。世界と日本の行方を総展望する。
自然を収奪し、強欲に利益を追求し続けてきた人類文明は、パンデミックや気候変動によって危機に瀕している。
『エントロピーの法則』『限界費用ゼロ社会』などの著書で知られる経済社会理論家のジェレミー・リフキン氏が、人類が生き延びるための処方箋を提示する。
──新著『レジリエンスの時代』の副題はReimaging Existence on a Rewilding Earth、すなわち「再野生化する地球で人類が生き抜くためには大転換が必要だ」というメッセージです。
この200年、西洋文明を中心に、工業化による「進歩の時代」が続いてきた。しかし、化石燃料を土台にした進歩の時代はもはや持続することができず、「地球の再野生化」により、6度目の大量絶滅の危機が近づいている。
必要なのは新たなプレイブック
地球の再野生化とは、気候変動などが原因で自然が猛威を振るい、人類の制御が及ばなくなることを意味する。すでに熱波や干ばつ、洪水、森林火災が多発し、地球は生物が住めない場所になりつつある。
ある専門家によれば、このままでは今の赤ん坊が一生涯を終えるまでに地球上の生物の約半分が絶滅してしまうという。
人類が生き延びるには、今までのやり方を根本から変えなければならない。強欲な資本主義、代議制民主主義に基づく統治機構、自然を利用対象と捉える科学技術……、それらはいずれも「進歩の時代」のプレイブック(戦略集)だ。
そのプレイブックに基づいて解決策を練ろうとしても、たちまち壁にぶち当たってしまう。ここで必要なのは新たなビジョンであり、そこから生まれてくるのが「レジリエンスの時代」。すなわち、再野生化する地球で生き抜くための新たなプレイブックだ。
経済・社会の変革が急務
──現代文明のどこに問題があるのでしょうか。
19世紀に英国では電信技術の発達により、瞬時に通信ができるようになった。エネルギーでは石炭を燃焼させ、移動手段では鉄道が生まれた。上下水道も整備された。第1次産業革命とともに国民国家が形成されて、都市開発も進んだ。代議制民主主義も広がった。
20世紀にはアメリカが中心となり、第2次産業革命が起きた。石油が石炭に取って代わった。自動車が普及し、巨大な水力発電ダムが建設された。統治機構としては国連、経済協力開発機構、国際通貨基金、世界銀行が設立された。
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