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「定年後の人生」を左右する「50代で心掛ける事」 ハロワ通った宇宙飛行士が気づいた3つのこと

東洋経済オンライン / 2024年1月3日 19時0分

肩書や帰属先を失ったとき、「自分自身が何をしたいのか」を問われるようになります(写真:Ushico/PIXTA)

多くのビジネスパーソンにとって、キャリアの答え合わせ期間でもある50代。しかし、これまで仕事で数々の成果をあげてきたとしても、残りの人生を幸せに過ごせるとは限りません。逆に、成功とはいえないキャリアを歩んできた人が、幸せな老後を過ごすことも。この差はどこから生まれるのでしょうか。宇宙飛行士の野口聡一さんの著書『どう生きるか つらかったときの話をしよう』より一部引用・再編集して、そのヒントを探ります。

若いときには気づけない50代の苦しさ

僕はJAXA(宇宙航空研究開発機構)を辞めた後、雇用保険の手続きのために、何度か地域のハローワークに行ったことがあります。

そのとき、ハローワークの職員の方とのやりとりや、ハローワークに来ている人たちの様子を見て強く感じたのが、

「定年を迎えると、人はいきなりアイデンティティや人間関係など、組織とのつながりを切られる」

「組織とのつながりが切れたとたん、人は『自分は何者なのか』『何がしたいのか』『何ができるのか』をシビアに問われるようになる」

ということでした。

一つの会社で長く働いている人に、「自己紹介をしてください」というと、「大学を卒業した後、A社のB部に配属され、32歳からはC部に配属し……」といった具合に、その会社での職歴を話す人が少なくありません。

「自分の経歴=会社の職歴」になってしまっているわけですが、社会的には、それは「22歳から60歳までA社に在籍」の一行で終わってしまいます。

でも、組織を離れると、最終的な役職など関係なく、年齢や性別、学歴、体力、技術の有無などによって「何ができるか」を冷徹に評価されるようになります。あるいは、組織から与えられるミッションや目標が失われ、「自分自身が何をしたいのか」を問われるようになります。

何十年も同じ場所に通い、仕事をし続けていた人が、ある日を境に「もう来なくていい」と言われること。それは、いきなり無重力空間に放り出されるようなものかもしれません。

仕事一筋に生きてきて、家に居場所がなく、地域社会とのつながりもなく、同僚や部下とのコミュニケーションは以前よりも薄くなっており、仕事関係の人脈も定年などによって組織を離れれば失われてしまうため、どこにも帰属意識を持つことができない。

50代の人たちは幸福から遠い場所にいる

「将来はあらゆる欲求が満たされ、悠々自適の生活を送れるはずだ」と信じ、組織の中で一生懸命働いてきたのに、いざ年齢を重ね、気力や体力が衰えてきたときに、「若いころ思い描いていた、安泰な生活にたどり着けない」という現実に直面させられる50代の人たちは、幸福から遠い場所にいるのではないかと、僕は思います。

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