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ソニーはなぜ「銀座の一等地に公園」を作ったのか 公園を「再定義」して見えてきた"らしさ"の本質

東洋経済オンライン / 2024年1月16日 10時0分

その企業の「らしさ」はどこからくるのか。今回はソニーの手がける「Ginza Sony Park Project」について掘り下げていきます(撮影:今井康一)

企業を取り巻く環境が激変する中、経営の大きなよりどころとなるのが、その企業の個性や独自性といった、いわゆる「らしさ」です。ただ、その企業の「らしさ」は感覚的に養われていることが多く、実は社員でも言葉にして説明するのが難しいケースがあります。

いったい「らしさ」とは何なのか、それをどうやって担保しているのか。ブランドビジネスに精通するジャーナリストの川島蓉子さんが迫る連載の第15回は、ソニーが手がける「Ginza Sony Park Project」を取り上げます。

ソニーの「新しいブランドコミュニケーション」

東京・銀座の数寄屋橋交差点を思い浮かべるとき、「ソニービル」を想起する人は少なくないだろう。現在ここでは、1966年にソニーが建てたビルを建て替えるプロジェクトが進んでいる。「Ginza Sony Park Project(ギンザソニーパークプロジェクト)」と名づけられ、「新たなブランドコミュニケーションの場」を目ざしている。

【写真で見る】1966年ソニービルオープン当時の銀座

2024年完成予定のこのビルはどのようなものなのか、ソニーの「新しいブランドコミュニケーション」は、どのように図られていくのか。本プロジェクトのリーダーであるソニー企業代表取締役社長兼チーフブランディングオフィサーである永野大輔さんの話を聞いた。

――いわゆる建て替えプロジェクトは、古い建物を解体して新しいビルを建てることを指し、効率的な期間と費用をはじき出して行うのが通常です。ただ、「ソニービル」は様子が違っていて、現在建て替え中の場所は、前のビルを壊した後、2年前くらいまで「Ginza Sony Park(ギンザ ソニーパーク)」でした。

永野:はい、この建て替えプロジェクトでは、①「ソニービル」を壊す、②「Ginza Sony Park」にする、③新しい「Ginza Sony Park」を建てるという3段階のプロセスを踏んだのです。②のパートとして、2018年8月から2021年9月末まで、イベントやライブなどのプログラムを行っていました。

「建てない」建て替えプロジェクト

――そのプロセス自体がユニークです。なぜそういう道を選ばれたのですか。

永野:「ソニービル」の建て替えプロジェクトは、2013年、当時の社長である平井一夫の直下で始まったものでした。

「次世代のソニーの象徴になるような新しいビルディングにしよう」という意図でスタートしたのですが、いわゆる常識的なプランに収まりそうになっていたのです。それではソニーらしくない、独自性がないということから、僕が指示を受け、改めて議論・検証を重ねました。

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