「スマホで操作できるEV」中国で激化する勢力争い 有力メーカー3社が独自OSをEVに搭載し話題に
東洋経済オンライン / 2024年1月16日 12時20分
中国の新車販売台数は2023年に世界で初めて3000万台を超え、輸出台数でも日本を抜き世界一になる見込みだ。
【写真】中国で続々投入される、最先端機能が搭載された新エネルギー車
その牽引力はEV、PHV(プラグインハイブリッド)などの新エネルギー自動車で、10~12月には四半期のEV販売台数でBYDが初めてアメリカのテスラを上回りトップに立つなど、中国メーカーの存在感も一段と高まっている。
一方で、2024年は市場の伸びは予想されるものの、それを上回る新車の投入が計画され、選別と淘汰が進む1年になると見られている。生き残りのカギを握る要素として、有力メーカーが取り組むのが「スマートフォンとの連携」だ。有力メーカー3社が独自OSをEVに搭載し、「自動車3.0時代」が幕を開けるとも言われている。
ポルシェに対抗、若者向けEV
「15~20年以内に世界トップ5に入る自動車メーカーを目指す」
スマートフォン世界3位のシャオミ(小米科技)を率いる董事長兼最高経営責任者(CEO)の雷軍氏は、2023年12月28日に開いたEVセダン「SU7」の発表会で野心的な目標を宣言した。
中国で現在のEVブームが始まったのは2020年だ。テスラが2019年12月に上海工場を稼働し国産の「モデル3」を市場に投入したことで市場が拡大、2010年代半ばに事業を立ち上げた新興EVメーカーの収益も好転した。その後、異業種参入が相次いだが、最も注目された1社が2021年に参入を表明したシャオミだった。
SU7はシャオミにとって3年近い年月と巨額の開発費を投じた最初の製品になる。
雷氏が発表会で何度も引き合いに出したのは、テスラのモデルSとポルシェのタイカン(ターボS)だ。航続距離やモーター最高回転数、最高時速、時速100キロへの加速スピードがいずれも両車種を上回ると説明し、性能を誇示した。
だが、シャオミのEV参入は当初から「今から開発を始めても、販売を始めるころには市場環境はいっそう厳しくなっている」と疑問視されていた。業界の懸念は現実となっている。
中国自動車工業協会が1月11日に発表した2023年の新車販売台数は前年比12%増加し、3009万4000台に達した。2桁増は2016年以来7年ぶりとなる。
メーカー別の戦績を見ても、同62%増の302万台のBYDを筆頭に多くのEVメーカーが販売を伸ばした。だが、実際には各社は販売を増やすために値下げに走っており、採算悪化を嫌って中国EV勢の株価は低迷が続く。
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