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「半導体ウェハー2強」信越とSUMCOで株価に明暗 2023年上昇率は信越が70%超、SUMCOは19%

東洋経済オンライン / 2024年1月17日 7時0分

半導体の基板となる円盤状のシリコンウェハーには、極めて高いレベルの純度や平坦度が求められる。現在の主流は直径300ミリの製品だ(写真:記者撮影)

半導体チップは超平坦に加工した円盤状のシリコンの板に回路を形成し、切り分けて作られる。この円盤状の基板であるシリコンウェハーで「世界2強」なのが日本企業の信越化学工業とSUMCOだ。だが、株価の上昇率では明暗がくっきり分かれている。

【株価パフォーマンス】信越化学とSUMCOの2社では2023年の株価上昇率に大差がついた

“明”となっているのは信越だ。ウェハー市場で約3割のシェアを握り、世界トップに君臨する。

一般的な知名度は決して高いとは言えないものの、信越の時価総額は国内全上場企業の中でトップ10に入る約11兆円。住宅の配管などに使われる塩化ビニル樹脂でも世界トップの企業だ。

SOX指数と連動し上昇した信越の株価

下の図は2023年初めからの株価上昇率だ。信越の株価は1年間で70%超上昇。塩化ビニル事業の規模も大きいものの、インテルやエヌビディア、TSMCなどアメリカ市場上場の主要半導体銘柄で構成されるSOX指数と連動しており、半導体関連として見られていることがわかる。

一方で、“暗”となっているのはウェハー専業で、時価総額8000億円前後のSUMCOだ。

昨年1年間の株価上昇率は19%にとどまった。日経平均株価の上昇率(33%)も下回ることを踏まえれば、株式市場の評価は信越と真逆とも言えるだろう。

両社ともほとんどの半導体メーカーと取引関係にあり、事業環境は大きく違わないはず。なぜここまでの差が開いているのか。

まず両社で大きく異なるのは、現在低迷しているウェハー需要の回復見込みの時期だ。

2022年の秋口から調整局面に入った半導体市況。半導体メーカーや大手製造受託会社の売上高はすでに底を打ち、前年同期に迫る水準まで上向いている。

ただ材料となるウェハーは、半導体メーカーがある程度の在庫を抱えておけるため、好況時も不況時も市況の波が遅れてやってくるという特徴がある。足元で半導体メーカーの在庫はかなりの高水準にあり、信越、SUMCOともに直近の2023年7~9月期決算までの売上高は減少傾向にある。

メモリー向けの回復時期に差

2024年内には、両社ともに半導体の売り上げ回復に伴ってウェハー需要の回復を見込んでいるものの、そのトーンは異なる。とくに違いが際立つのが、ウェハー市場の約6割を占めるメモリー向けだ。

信越は「ロジック向け、メモリー向けともに今年後半からは回復が期待できる」と説明する。SUMCOもロジック向けでは今年後半からの回復を見込む。ただ、「メモリー顧客向けは年内いっぱい厳しい」(同社の橋本眞幸会長)との見方だ。

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