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「忙しくても稼げない」軽バン配達員の過酷な実態 アマゾンもヤマトもウーバーも掛け持ち?

東洋経済オンライン / 2024年2月28日 11時30分

「大手通販事業者」とはアマゾンや楽天などEC・通販事業者のこと。先に挙げたアマゾン・フレックスのようにEC・通販事業者と直接契約を結ぶケースもあれば、アマゾンのデリバリープロバイダなど、EC・通販事業者と運送契約を結んでいる元請運送会社の下請けとして働いているケースもある。

その意味では、ヤマト運輸や佐川急便など、大手運送事業者の下請けで働くケースに近しい働き方だ。ちなみに、ヤマト運輸・佐川急便の制服を着ていたとしても、それは制服を貸与された個人事業主の軽バン配達員の場合もある。

運送マッチングサービス事業者は、軽バン配達員と、「荷物を運んでほしい」荷主を結ぶサービスである。「PickGo」(CBcloud)や「ケイハイ」(パラダイム・ラボ)などがある。

この3者の割合がほぼ拮抗しているのは、軽バン配達員の多くが、複数の取引先と取引をすることで、仕事を得ている(あるいは、「得ようとしている」)からだと推測される。

軽バンは、車両の都合上、「大きくて重たい」もの(例えば鉄骨など)は運べない。「小さくて軽いもの」を運ぶことに適した軽バン配達員が運ぶものは通販などのBtoC、あるいはメルカリなど個人間売買(CtoC)の貨物が中心となる。

「個人宅への配送」は薄利多売

宅配便の取扱個数は、2022年度、50億0588万個と、ついに50億個の大台を超えた。ただし、この50億個には、アマゾンの自前物流(アマゾン・フレックスやデリバリープロバイダ)による配達個数が含まれていない。

日本での自前物流取扱個数は公表されていないが、アメリカでは宅配大手であるUPS、フェデックスの取扱個数を、アマゾンの自前物流の取扱個数が超えていること(UPS約53億個、フェデックス約33億個、対してアマゾン約59億個)を踏まえると、日本国内においても同様のことが考えられる。

これだけ個人宅への配送個数が増えているのだから、「さぞ宅配大手は儲けているだろう」と思うかもしれないが、実はそうではない。

ヤマト運輸の2023年3月期における営業利益率は3.3%。一方で、ヤマト運輸と並ぶ宅配便の雄である佐川急便における2023年3月期の営業利益率は9.4%。この違いについては、2013年にアマゾンからの撤退を決めるなど、利益率の薄いBtoCではなく、BtoB(企業間)輸送にいち早く舵を切り直したことが要因であるとの見方がある。

ではなぜ、個人宅への配送が儲からないのか? 端的に言えば、再配達などの手間が掛かるのに、荷物1個あたりの売り上げが低いからである。BtoB輸送であれば、1つの荷物(=1カ所の配送先)が、数トンになることもあるが、個人宅への配送は、せいぜい数キロ程度である。個人宅への配送は、薄利多売のビジネスモデルなのだ。

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