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「忙しくても稼げない」軽バン配達員の過酷な実態 アマゾンもヤマトもウーバーも掛け持ち?

東洋経済オンライン / 2024年2月28日 11時30分

個人事業主ですから、軽バンの減価償却や燃料代、オイル類やタイヤのメンテナンス費用に加え、税金や健康保険、年金なども売り上げの中でやりくりしなければなりません。こういった諸経費は、当時で月20万円を上回っていました」

現在の所長という立場上、「軽バン配達員として、独立起業したいと考えています」という相談を受けることがあるB氏だが、自身の体験を踏まえ、思いとどまるように諭すのだという。

「今は、私が軽バン配達員だった頃よりも物価も上がっていますし、何よりも燃料代が高騰しています。月40万円くらいの売り上げでは、生活していくのが精一杯でしょう」

軽バン登録数は5年間で3割増加

近年、軽バン配達員は急速に増えている。

「貨物軽自動車運送事業適正化協議会」(国土交通省)によれば、事業用の軽バン登録数は、2021年で28万8226台と、過去5年間で31.4%も増えている。ちなみに営業用トラックの登録台数が約150万台であることを考えると、軽バン配達員がどれほど増えているかがわかるだろう。

ただ、軽バン配達員らの労働環境は厳しい。軽バン配達員の37%が週6日労働、週7日というツワモノも5%存在する。1日あたりの労働時間は、「8時間以内」が41%いる一方で、「11時間以上」が42%。平均月収は、「30万円未満」が55%。一番のボリュームゾーンは、「30万円以上40万円未満」の29%に上る。

「月40万円ももらえるのであれば、まあまあいいじゃないか?」と思う人もいるかもしれないが、それはサラリーマンの発想である。

軽バン配達員の収入は、あくまで売り上げであって、軽バンの購入費用(減価償却)、メンテナンス費、燃料代、配達員当人の税金や健康保険・年金などの経費が差し引かれる。実際の手取りは月30万にはとても届かないはずだ。

もちろん、「自分のペースでコツコツ稼ぐ」、あるいは「ガッツリ働いて、ガッツリ稼ぐ」という軽バン配達員も存在する。だが総体的に見れば、軽バン配達員は、「安い賃金で長時間働かされる」存在へとなりつつある。

軽バン配達員が運んでいる荷物

そもそも軽バン配達員は、何を運んでいるのだろうか? 国土交通省が、軽バン配達員1万人に対し、2023年3月に実施した調査によると、主要取引先は以下のようになっている。

大手通販事業者:37%
運送マッチングサービス事業者:27%
大手運送事業者:30%
※複数回答可

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