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「忙しくても稼げない」軽バン配達員の過酷な実態 アマゾンもヤマトもウーバーも掛け持ち?

東洋経済オンライン / 2024年2月28日 11時30分

加えて、「物流の2024年問題」がある。トラックドライバーの長時間労働が許されない今、運送業界では「より儲かる荷物」へのビジネスシフトが進んでいる。

結果、軽バン配達員は、「儲からない個人宅への配送」を担う存在になりつつある。

週9万円強は稼げると謳う広告

「1週間程度の配達で最大94,300円も可能。自分のペースで、自由に働く。Amazon Flexでは、様々な人がそれぞれの生活に応じた働き方を自由に選択することができます。例えば、子育てや介護をしている方、自分の夢を追い続けている方。そんな方々でも、自分のペースで働く時間を選び、収入を調整することができます」

これはアマゾン・フレックスの募集広告である。週9万円強の売り上げの場合、月40万円の売り上げになる。だが、前述の通り、これはあくまで売り上げであり、ここから諸経費が引かれる場合、これだけで生活を成り立たせるのは難しいかもしれない。

誤解のないように付記すると、こうした費用体系はアマゾン・フレックスだけではない。大手物流事業者の下請けも似たような給与水準だ。

先の国交省による調査では、「軽バン配達員を専業としている人は64%しかいない」ことがわかっている。もちろん、育児や介護があるため、軽バン配達員を専業にできない人もいるだろう。だが、「軽バン配達員だけでは生活ができない」という人も少なくないと思われる。

こうした中、「本気で稼ぎたい」という人は、例えばアマゾン・フレックスとヤマト運輸の下請けを掛け持ちしたり、軽バンでの配達を終えた後、ウーバーイーツなどで働いたりしている。その結果、「軽バン配達員を専業としている人は64%しかいない」のではないか。

ところで、軽バン配達員が運ぶのは、個人宅向けの商品だけではない。通常はトラックが輸送している企業間輸送の貨物を運ぶこともある。

あらゆる貨物には、季節や荷主の状況によって輸送量が増減する「波動」がある。年末や、年度末となる3月に物量が増えるのはわかりやすい例である。従来は物量が増えても、ドライバーに残業などを頼むことができた。

だが、ドライバーの数自体が逼迫していることに加え、4月から労働時間の上限規制が設けられることによって既存のドライバーにすべての貨物をさばいてもらうことは難しくなっている。こうした中、「使いたいときだけ使える」軽バン配達員に、繁忙期に溢れた荷物の輸送を委ねる運送会社や荷主が増えている。

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