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中国不動産大手「1~2月の住宅販売額」半減の深刻 北京、上海、深圳などの大都市でも需要が縮小

東洋経済オンライン / 2024年3月18日 15時0分

住宅需要の縮小は、市況が相対的に堅調だった「一級都市」でも顕著になりつつある。写真は高層住宅が建ち並ぶ上海の市街地(イメージ)

中国の不動産市場は、低迷脱出の糸口がいまだ見えない。不動産調査会社の中指研究院のデータによれば、業界上位100社による2024年1月から2月までの住宅販売額は4762億4000万元(約9兆9645億円)と、前年同期比51.6%の落ち込みを記録した。

【写真】深圳市内のマンション群(イメージ)

「不動産会社は春節(中国の旧正月)の商戦を盛り上げようと、あの手この手の販促活動を展開した。その結果、一部の都市ではショールームの来店客数がいくぶん増えたが、顧客側は様子見の雰囲気が濃厚で、成約増にはつながらなかった」。中指研究院のチーフアナリストを務める劉水氏はそう話す。

消費者の先行き不安が重石に

春節の大型連休期間中には、中国各地の地方政府が(大都市からの)帰省者に故郷での住宅購入を奨励する優遇政策を打ち出した。それに加えて、不動産会社も春節限定の割引キャンペーンなどを実施したが、成果は微々たるものだった。

劉氏の分析によれば、不動産会社の(値引きや特典などの)販促活動が期待外れに終わった主因は、消費者が自分の収入や中国経済の先行きに不安を抱き、それが住宅需要の縮小を招いていることだ。

ただし、1~2月の住宅販売額の落ち込み幅が大きかった裏には、比較対象である2023年1~2月の住宅販売が好調だった反動もある。中国では2022年12月に「ゼロコロナ政策」が事実上解除され、それまで抑制されていた需要が一気に噴出。不動産市況が2023年1月から3月にかけて一時的に回復したからだ。

先行き不安の高まりによる住宅需要の縮小は、これまで市況が相対的に堅調だった「一級都市」と呼ばれる北京、上海、広州、深圳の4大都市でも顕著になりつつある。

例えば深圳市は、(不動産投機を抑制するために)住宅購入者に課していた一定期間以上の在住年数や個人所得税・社会保険料の納付記録などの条件を2月に廃止した。北京市は(郊外の南東部に位置する)通州区の住宅購入制限を一部緩和し、上海市は外郭環状道路の外側の地域で単身者に対する住宅取得制限を撤廃した。

住宅取得制限緩和の効果見えず

にもかかわらず、2月の販売データからは一級都市の住宅取得制限緩和の効果が見えない。深圳、北京、上海のいずれでも、同月の新築住宅の成約面積は前年同月比6割を超える減少を記録した。

そんななか、中国政府は不動産市場をテコ入れするための追加支援策を繰り出している。2月20日には、中国人民銀行(中央銀行)が最優遇貸出金利の指標であるローンプライムレートを引き下げ、期間5年以上の貸出金利がこれまでより0.25ポイント低い3.95%になった。

市場関係者の多くは、3月5日に開幕する全国人民代表大会(全人代、国会に相当)を経て、より有効な政策が需要と供給の両面から発動されるかどうかに注目している。一級都市の住宅取得制限のさらなる緩和や、(省都クラスの)二級都市以下の住宅取得制限の完全撤廃などが予想されている。

(財新記者:牛牧江曲)
※原文の配信は2月29日

財新 Biz&Tech

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