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子どもを幸せにする非認知能力「創造性」の育み方 「目に見えない世界」に心を遊ばせよう

東洋経済オンライン / 2024年3月28日 17時0分

帰国子女のH君は、入室時、じっくり自分の頭で考えるということをしてくれず、一文を書くことすらままならなかったのですが、コツコツ読書と作文練習を積み重ね、この春、卒業課題に挑むことになりました。

果たして、H君に長い物語が書ききれるだろうか? H君の創造力がどこまで伸びているのか、日頃の短作文だけで計り知ることは難しく、私はかなり心配していました。ですが、その心配は全くの杞憂でした。

H君は、24時間営業のピザ屋で働く、睡眠時間の短い男性「タケさん」を主人公に設定し、タケさんがふらふらの状態でピザの宅配をする様子を面白おかしく描いて、私を笑わせてくれました。

そして、その翌週の授業では、タケさんが交通事故にあい、店長がタケさんのためにピザ屋の営業時間を22時間に短縮したことで、タケさんの睡眠不足が解消されるという、ユーモラスな物語を書き上げたのでした。

また、作文が苦手だった4年生の女の子も、この春卒業課題に挑み、実に見事な長編ファンタジーを執筆してくれました。この子が生み出した主人公は、人を見ると寿命がわかるという特殊能力を持った少女。両親の寿命が長くないと知った少女は、寿命が延びる花を探しに、友人たちと冒険の旅に出ます。

ところが、その旅が長くて長くて、いっこうに物語が終わる気配が見えません。私はまた心配になってきました。というのも、物語は書き始めるのは簡単なのですが、終わらせるのが難しいのです。大人でも途中で投げ出す人が多いのですから、私はいつも、生徒たちが執筆を途中で投げ出さないかと、ハラハラしながら見守っているのです。

ですが彼女は、思いもよらない素敵な方法で、物語を一気に終盤へ持ち込みました。冒険の果て、森の中で目覚めた少女の前に現れたのは、なんとユニコーン。少女はユニコーンに導かれ、寿命を延ばす花の場所に無事たどり着いたのでした。私は、この幻想的で美しい物語の展開に感動し、子どもの創造力の凄さに舌を巻きました。

こうした創作課題は、クラスが進級しても時々出題しますので、中学生・高校生も素晴らしいストーリーを創ってくれます。語彙も増え、筆力も年々上がるわけですから、学齢が進むにつれ表現力が磨かれるのは当然のことです。ですが、爆発的な創造力の伸び、大人の想像を超える奇想天外なストーリー展開を考え出す力、という点においては、やはり入門クラスの小学生たちに敵わないのです。

子どもの「目に見えない世界」を否定してはいけない

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