38歳でがん罹患「激務の母」が迷走経て掴んだ人生 東大院卒、外資系コンサルタントの大転換
東洋経済オンライン / 2024年4月24日 12時0分
働き盛りでがんになる――。あなたは想像したことがあるだろうか。だが、治療と仕事を両立する人の声を聞く機会は少ない。仕事や子育て、その他でどんな悩みがあり、どう対処しているのか。
今回は、組織開発コンサルタント会社を起業した2児の母親が、38歳でがんになったケースを取り上げる。
彼女が「堂々と休める」となぜかホッとした理由
左胸に5cm超の進行性がんがあって、左脇のリンパ節にも転移。ステージ3の乳がん――。2020年6月に勅使川原真衣さん(当時38歳)は、そう診断されたときになぜかホッとしたという。
【写真】38歳でがんになった勅使川原真衣さん。2人の幼い子たちと抱き合う彼女の日々はーー
「がんを理由に堂々と休める、そう思ったからです。あのまま働き続けていたら、『もっと顧客数を増やして、売り上げも上げて』という発想からずっと抜け出せなかった気がします。でも、いのちあっての人生だから、眠たくなったらもう寝ようって、やっと切り替えられました」
当時の睡眠時間は平均4時間。2017年に起業した組織開発コンサルタント会社の代表として、「常に成果を出さなければ」という強迫観念に急き立てられていた。前職の外資系コンサルタント時代は、毎日3時間睡眠の上司に負けまいと必死に働いていた。
「時給換算したら300円程度だったはずです。がんの原因はわかりません。でも、あの頃のハードワークは大きかったと今ならわかります」(真衣さん)
加えて、ワンオペで幼い子ども2人も育てていた。一人で必死に走って、走って、走り続けていた。
2020年9月、左胸と左リンパ節のがん切除手術は成功したが、治療は今も続いている。
華やかなキャリアと強い劣等感の狭間
真衣さんは慶応義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)卒業後、東京大学大学院に進学。教育社会学を専攻し、行きすぎた能力主義がはびこる社会を批判的な視点から学んだ。卒業後は、あえて外資系の組織開発コンサルタント会社へ。社会で語られる「能力」がかなり相対的なものだと痛感した。
採用企業の社風と中途採用者との相性、転職した業界への理解度や、上司や同僚との関係性など、さまざまな要素がからみ合って、「能力」は発揮されたりされなかったりする。また、会社と個人はけっして対等ではない。
たとえば、変革人材を採用して保守的な組織を変えたいと意気込んでいた会社が、慎重に選んだはずの中途採用者に、社風に合わないとダメ社員の烙印を押して退社に追い込む。真衣さんはそんな事例も数多く見てきた。
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