「昭和・平成に幸せだった人」が今後ラクになる発想 川勝知事辞任にも学ぶ"アップデート"はどこまで必要か
東洋経済オンライン / 2024年4月7日 7時20分
先日、最終回を迎えたドラマ「不適切にもほどがある!」。そのサブタイトルは「アップデートしなきゃダメですか?」だった。
本作ほどには話題にはなっていなかったが、同じ1月クールにフジテレビ系列で放映されたドラマ「おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!」でも、アップデートという言葉が頻繁に使われていた。
まさに、古い価値観をどうアップデートしていくのかが、現代日本社会のひとつの課題であり、だからこそ複数のドラマでテーマになったのだろう。
先日、職業差別とも取れる”不適切発言”が物議を醸す中で辞任を表明した静岡県知事・川勝平太氏を例にひくまでもなく、古い価値観をアップデートできないばかりに、立場も仕事も失う人が近年、後を絶たない。
過剰なコンプライアンスの弊害も指摘されているが、アップデートはどこまで必要なのだろう? 本稿ではそれについて考察してみたい。
川勝知事はどこで間違ったのか?
筆者は「不適切にもほどがある!」の脚本家の宮藤官九郎氏と同世代(筆者のほうが1歳下)だ。ドラマで描かれた1986年の世界を懐かしく思うと同時に、その後社会が大きく変わり、当時の常識が全く通じなくなったことをまざまざと見せつけられた。
どの時代でもそうかもしれないが、これだけ社会の変化が大きいと、とくに中高年は社会への適応とアップデートが難しくなっている。
筆者が若手会社員だった20余年前。先ほども触れた静岡県の川勝知事を勉強会やフォーラムに招へいすることが、幾たびかあった。当時の川勝氏は新進気鋭の歴史学者だったが、話が面白く、ためになることに加えて、依頼側の意向を汲んで柔軟に対応していただけた。不適切発言を繰り返す現在の川勝知事のイメージとは全く異なっている。
当時の筆者の認識がずれていた、あるいは現在のメディア報道が実態からずれていることもあるかもしれないが、川勝知事は、時代に合わせて言動や価値観のアップデートができなかったのではないか――と思わざるをえない。
2022年に牛丼の吉野家の取締役が、早稲田大学の社会人講座で女性に関する不適切な発言を行ったことが問題となり、解雇された出来事があったが、今回の川勝知事の問題もこのケースと類似している。
かつてであれば、さほど問題にならなかった発言が、現在では問題視されるようになった。
メディアの取材に対して、川勝知事は「最近、メディアのハラスメントが横行していることを憂いている。ジャーナリズム、あるいはメディアの質の低下を感じ、誠に残念なこと。切り取られた」と説明をしている。
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