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「ソロ活」の心地よさの先にある自由と社会的孤立 若者の孤立を防ぐ立場から見たシングルと役割

東洋経済オンライン / 2024年4月24日 10時40分

シングルと社会的孤立状態は紙一重なのかもしれません(写真:Graphs/PIXTA)

未婚率全国トップの東京23区で進む「日本の未来」とは。孤独担当大臣も知らない、35歳から64歳の「都市型」の自由と孤独に焦点を当てた『東京ミドル期シングルの衝撃:「ひとり」社会のゆくえ』がこのほど上梓された。同書を、奈良県東吉野村で「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」を運営し、若者の孤立防止支援も行っている青木真兵氏が読み解く。

若者の孤立を防ぐ立場から

現在、僕は10代から20代前半の若者の孤立を防ぐことを目的とするNPO法人で働いています。

子どもや若者が孤立する要因はさまざまですが、家庭や学校に居場所のないことがそのような状況に陥らせています。孤立の結果、居場所を求めて繁華街に出歩き犯罪に巻き込まれたり、生活費を稼ぐために犯罪に関わらざるを得なかったり、家のなかに引きこもってしまったりすることになります。

もちろん、繁華街で遊ぶこと、反対に人混みが嫌いでずっと家でゲームしていたいと思うことが悪いことだとはまったく思いません。

しかし、地域コミュニティも希薄になり、そもそも社会のセーフティネットが脆弱な現代日本では、生まれ育った家庭によって将来がすべて決まってしまう「親ガチャ社会」にますます拍車がかかってしまうと危惧しています。このような状況を少しでも改善するために、社会的なセーフティネットを作る必要があります。

一方、『東京ミドル期シングルの衝撃』ではミドル期シングルの大人を対象としています。

「ひとり暮らし」をしている人びとのことを「シングル」と定義し、ミドル期とは35〜64歳のことを指し、前期が35〜49歳、後期が50〜64歳に当たります。シングルは1950年代後半から増加し続け、特に2000年から2020年には156万人から326万人へと大幅に増加しています。この時期に増加したのは男性に顕著に現れている、未婚ミドル期層だといいます。現在ミドル期シングルは東京都区部人口の3割近くをしており、今後も増加していくと考えられています。

本書では、シングルと社会的孤立状態は同義だと述べられていませんが、読み進めると両者は紙一重にあることがわかってきます。第5章「大都市で『ひとり』で生きる――2019年東京区部単身世帯調査から」において酒井計史は以下のように述べています。

いわば、ポスト近代社会のあり方として、あらゆるものが流動的、液状化していく中で、シングルが流動的で、リスクを体現する中心的存在として大都市の中で立ち現れてくるかもしれません。つまり、孤立・孤独、貧困、孤独死などネガティブの側面によって、可視化される存在として捉えられるようになるということです。また、ジェンダーによる違いも無視できません。例えば、貧困は女性シングルにおいてよりリスクが高く、社会的な孤立は男性シングルにおいてよりリスクが高いといえそうです。

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