Z世代が囚われる「第三者目線」という強迫観念 メリットなき個人行動の「コンプライアンス化」
東洋経済オンライン / 2024年6月27日 11時0分
しかしSNSばかりが全盛で、対面でのご近所づきあいが空洞化した今は、そうした世間自体があるのかないのかはっきりしない。一方で第三者から絶えず監視され、場合によっては村八分にされるぞという不安だけは残っています。
舟津:確かに。
第三者への建前と自分の本音を使い分ける
與那覇:コロナ自粛の唯一のポジティブな遺産は、よくも悪くもそれなりに「世間は残っていたぞ!」と示したことかなと思います。「ぶっちゃけ自粛せず、営業します」という飲食店は結構あり、それでやっていけたのは「いやいや。今回の国の要請、ウチらの世間の基準としては『ないわ』なんで」という世界が現にあったからなわけで。
だからコロナの最中に、自粛していないお店をどれだけ知っていたか・使ったかは、その人が悪い意味で「Z世代化していないか」を測る貴重な指標だと思うんですよ(笑)。完全にZ世代化して、第三者がすべてになっていた人は、まったく使わなかったんだろうけど。
舟津:若者に希望が持てる部分としては、やっぱり若者はしたたかでもあるんですよね。それこそ、見た目には純粋でキラキラした人たちであっても、完全に善良ではなくて、むしろすごく賢く周りを見て、かつ打算的でもあるので。
與那覇:そこも本書の読みどころでしたよね。Z世代は「エシカルで意識が高い!」といったPR本では、見えないリアルが描かれていて。
舟津:でもそっちのほうが頼もしいというか、それこそ「自粛言うてるけど、ちょっとぐらいは外出てええねん」っていう感覚を持てるかどうかってすごく大事な気もします。そういう意味では、有形無形の第三者からのプレッシャーに対して、本音と建前をちゃんと使い分けて、本人の中で使い分けのバランスを見つけてほしいと思いますね。それは古今東西存在する、社会を生きるためのテクニックですし。
與那覇 潤:評論家
舟津 昌平:経営学者、東京大学大学院経済学研究科講師
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