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「10浪で医学部失敗」彼が取った"まさかの決断" 長い浪人生活での学び、現在の仕事に生きる事

東洋経済オンライン / 2024年8月18日 8時0分

「夏休みに熊本大のオープンキャンパスに行きました。医学部の受験生や学生を見て、みんな頭がよさそうだなと思ったんです。とりあえず毎日5時間は勉強していたら合格するだろうと思ったのですが、全然集中が続かず、勉強体力を身につける必要がありました」

高校3年生の夏からは、代ゼミに通って理系科目中心に勉強をはじめましたが、センター試験は58%くらいで、到底医学部には届かない点数でした。

「医学部しか受けるつもりはなかったので、今の段階でどれだけ点数を取れるかを確かめようと思い、熊本大学の医学部医学科を受験しましたが、全然ダメでした。特に数学は、2時間の試験の中で、1時間半まったく手をつけられませんでした」

センター試験の結果を受け、熊本大学に出願した時点で浪人を考えていたと語る尾形さん。

惨敗だった受験を終えて浪人を決断した理由を聞くと、「10年後になりたい自分の姿があったから」と教えてくれました。

「『医学部に届かない』ということを認めるのは、何かに屈するような感じがして、自分の中で消化するのが難しいと思いました。現役時のセンター試験の点数でも行けた大学はあったのですが、このまま大学に進むというのは、今自分が置かれた世界の中で生きていくことになると思ったのです。

私は10年後になりたい自分の姿がありました。今、自分の置かれた状況・点数が、たとえ医学部に行くにはきびしくても、今までの自分を変えてでも、医学部合格は成し遂げたいことでした」

国語の偏差値は35、多浪がすでによぎる

こうして浪人を決断した尾形さんは、1浪で地元の壺溪(こけい)塾に入り、勉強を開始します。

毎日夜まで勉強していましたが、得意な化学と英語が記述模試の偏差値60台でスタートしたのに対して、いちばん苦手な国語は偏差値が35で、「1年目の時点で何年かはかかるだろう」と覚悟を決めたようです。

「浪人したら何かが変わると思っていましたが、何も変わらないと思いました。私は壺溪塾の環境が好きでしたし、友達もたくさんできました。塾に5浪や再受験の方も大勢いて、いろんな年齢層の方と交流できました。5浪の先輩は旧帝医学部の模試で、偏差値100を叩き出していて、衝撃を受けましたね。

今のままじゃダメだと思い、強い危機感を抱きましたが、自分も長く浪人したら先輩と同じように点数が取れるようになるのではないかと、楽観的に考えていました」

ここから彼は3年間、壺溪塾で勉強を続け、熊本大学の医学部を受け続けます。

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