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「もしトラ」より難しい「もしハリ」を予想しよう ハリス大統領候補の政策はまだよくわからない

東洋経済オンライン / 2024年8月31日 9時30分

ところがそこへ奇跡が起きた。バイデンさんが不出馬宣言し、カマラ・ハリス副大統領にお鉢が回ってきたところ、彼女が急に光り輝いて見え始めたのである。

正直なところ、カマラ・ハリスさんはこれまで冴えない政治家だった。カリフォルニア州の検察官として順調に出世し、ついに州司法長官にまで上り詰めた。たまたま2016年に、同州のバーバラ・ボクサーという民主党古手の上院議員が引退したので、あまり苦労せずに後釜として上院選挙に当選。上院で司法委員会に所属したのは当然として、諜報(インテリジェンス)委員会にも所属したのは、「その上」を目指す野心があったからであろう。

2019年夏には、いきなり民主党の大統領予備選挙に出馬した。討論会でバイデン大統領をやり込めるなど、いくつか見せ場も作ったのだけれども、どうもマネジメント能力に欠ける人らしく、資金不足から12月にはあっけなく選対本部を解散してしまう。

しかるにその後がいけなかった。その時点で2020年1月のアイオワ州党員集会に向けて、ハリス陣営のスタッフは現地で活動していたのである。彼らは選対本部の解散を報道で知らされる。つまり、ボスに見捨てられてしまったのだ。これは怒っていいだろう。

そんな感じだったのに、ハリス氏は2020年8月に「棚ぼた」でバイデン氏の副大統領候補に指名される。予備選挙を勝ち抜けず、途中で部下たちを放り出した彼女が、史上初の女性副大統領になれてしまったのだ。以後、民主党内ではハリス副大統領について、何かと悪い噂が流れるようになる。「アイオワの恨み」を抱えるスタッフが党内に残っていることを考えれば、それはまったく不思議のないことと言えよう。

そんな彼女が、2024年選挙でも予備選を戦うことなく、いきなり大統領候補の座が回ってきた。よほど「もってる」人なのであろう。それでも大統領選のステージに上げてみたところ、急にスター性が開花した。そこで民主党員は、久々に候補者と恋に落ちているという次第である。

何より彼女は明るい。そしてよく笑う。バイデン氏81歳対トランプ氏78歳という構図に辟易していた向きには、59歳という年齢だけでホッとするものがある。

「女性初の大統領を目指す」、というモチベーションも健在だ。特に人工妊娠中絶の問題で、保守化した最高裁に怒っている女性は多い。黒人でアジア系でもある、という複雑なアイデンティティも、いかにも21世紀の候補者という感じではないか。元検察官が有罪判決を受けた犯罪者・トランプに立ち向かう、という構図がまた民主党支持者を高揚させる。

「決めぜりふ」やウォルズ副大統領候補も大きなプラス

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