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「もしトラ」より難しい「もしハリ」を予想しよう ハリス大統領候補の政策はまだよくわからない

東洋経済オンライン / 2024年8月31日 9時30分

しかもここへきて、初めて民主党には「決めぜりふ」が生まれた。それは彼女が多用する”We are not going back.”(私たちは後戻りしない)というフレーズだ。これを聞いた後に、トランプさんの”Make America Great Again”(アメリカを再び偉大な国に)という言葉を思い浮かべると、なんとも時代錯誤的に思えてくる。すなわち民主党は前向きで明るい政党、共和党は後ろ向きで暗い政党、という対比になるわけだ。

みずからの「伴走者」”Running Mate”として選んだ副大統領候補、ティム・ウォルズ氏がまたいい味を出している。この人、ハリスさんと同じ1964年生まれなのだが、「見た目年齢」が上なものだから、まるでハリスさんの保護者か何かに見えてしまう。

経歴を見ると、陸軍、高校教師、アメフトコーチとある。陸軍だって「上がり」ポストが「曹長」とあるから、さほど出世したわけではない(ちなみに勲章はたくさんもらっている)。それが地域のボランティアとして皆に愛され、ついには下院議員を6期も務め、ミネソタ州知事になったという叩き上げの人物なのである。

いかにも「アメリカのお父さん」というノリの庶民派で、それに比べれば、共和党副大統領候補のJ.D.ヴァンス上院議員はイエール大卒のインテリである。焦点となる白人ブルーカラー層の票を取りに行くには、ウォルズ氏のほうが有利なんじゃないだろうか。

さて、間もなくアメリカは9月第1月曜日の2日、「レイバーデイ」の祝日を迎える。労働者のお祭りの日だが、ここを過ぎればアメリカ大統領選挙はいよいよ終盤戦だ。州によっては、郵便投票も始まってしまう。ここから先、11月5日の投票日まではあっという間だ。現在の情勢は横一線、いや、ハリス半歩リードと言っていいだろう。

「もしハリ」が実現したときの準備不足は明らか

あらためて気がつくのは、われわれは「もしトラ」については散々、思考実験を重ねてきたし、材料もそれなりにある。トランプ第1期政権のことを思い出せば、「ああ、またアレが始まるわけね」と想像がつくのである。ところが「もしハリ」については、あまりにも準備不足である。「ハリス大統領」になったらどうなるのか、さっぱり見えてこない。

8月24日付の『The Economist誌』が、さっそくカバーストーリーで取り上げている。”Kamala Harris can beat Donald Trump. But how would she govern?”(カマラ・ハリスはドナルド・トランプを倒しうる。だが、どうやって統治するのだ?)  

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