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地方私鉄と「台北メトロ」友好協定の本当の狙い 「知られざる観光地」求める訪日客取り込めるか

東洋経済オンライン / 2024年9月7日 7時0分

2024年6月に友好協定を結んだアルピコ交通(左)と台北メトロの車両(左写真:編集部撮影、右写真:HAPPY SMILE/PIXTA)

台湾と日本の鉄道事業者間での友好協定や姉妹鉄道協定は、もはや枚挙にいとまがない。歴史的経緯や同じ駅名があること、またお互いが観光路線であることなど協定を結ぶ経緯はさまざまであるが、表向きの目的は「相互誘客」ただ一つであると言ってもあながち間違いではないだろう。

【写真】意外に多い? 台北メトロと友好協定を結んだ日本各地の鉄道会社

日本の鉄道に台湾カラーの車両が走れば(その逆も)、一躍注目の的である。つまり、双方のインバウンド観光客の獲得である。

しかし、これまで協定を結ぶ台湾側の鉄道会社はほとんどの場合、台湾全土の鉄道網を運行する「台湾鉄路」である一方、日本側はJR、大手私鉄、中小私鉄とさまざまで、少なからず台湾側と日本側に思惑の違いが存在したのも事実である。

日本の地方に注目する「台北メトロ」

そんな中、台北で地下鉄を運行する台北大衆捷運股份有限公司(台北メトロ)と日本の地方私鉄との友好協定が続々と拡大している。とくに中部地方では、2023年8月の静岡鉄道を皮切りに、伊豆箱根鉄道、伊豆急ホールディングス、遠州鉄道・天竜浜名湖鉄道(いずれも静岡県)、アルピコ交通・長野電鉄(ともに長野県)と相次いでいる。

【写真】台北メトロと友好協定を結んだアルピコ交通や長野電鉄、静岡鉄道など中部地方の私鉄と台北メトロの車両、協定調印式の様子

台湾へのインバウンド誘客という視点からすれば、首都圏や関西圏の大手鉄道会社と連携したほうが広告効果ははるかに大きくなる。にもかかわらず、台北メトロが地方の鉄道会社と立て続けに友好協定を結ぶ理由はいったい何なのか。

「共通の接点であった丸紅さんを通して、台北メトロさんが日本の鉄道事業者で友好協定を結べるところがないか探しているという話が入ってきた」と語るのは、アルピコ交通の隠居哲矢鉄道事業部長だ。2024年6月、アルピコ交通は、長野電鉄と共に台北メトロと3社間での友好協定を結んだ。

台北メトロは鉄道システムの導入関連で、またアルピコ交通は顔認証システムの実証実験や空飛ぶ車の開発で丸紅と接点があった。丸紅ならば、各地の鉄道会社との取引があるだろう。しかし、その中で、「丸紅さんが、信州の会社がいいのではないか」ということで、台北メトロに対してアルピコ交通を紹介したのがきっかけとなった。そして、同じく長野県を地盤とする長野電鉄にも声をかけ、加わることになった。

ちなみに、台北メトロがすでに結んでいた先述の静岡県内の鉄道会社との友好協定は、別の仲立ちを通して実現しているとのことだ。また、これとは別に、2月には別府ロープウェイ(大分県)とも友好協定を結んでいる。台北メトロが日本の大都市ではなく、地方に注目しているということは紛れもない事実である。

知られざる観光地への送客目指す

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