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地方私鉄と「台北メトロ」友好協定の本当の狙い 「知られざる観光地」求める訪日客取り込めるか

東洋経済オンライン / 2024年9月7日 7時0分

国内需要では大型連休などの特定の時期に混雑が集中するが、インバウンド需要を取り込むことで平日の集客を見込めるほか、ゴールデンウィークと夏休みの谷間かつ、梅雨という閑散シーズンの穴埋めとして、6月の東南アジアにおけるスクールホリデーの存在は心強い。

また、「冬の集客は松本地域の最大の課題」とのことだが、東南アジアからの観光客には雪遊び需要がある。アルピコグループにとっての一大観光地である上高地は冬季閉鎖となるため、相性は抜群だ。

「雪を求めて来日される東南アジア、東アジアのお客様が滞在する高山市や白馬バレーとの広域連携は非常に重要。地域のお母さんたちと組んだ郷土料理のランチ、スノーシューウォーク、白馬岩岳ロープウェイなど、本格的なスキーはしないが、雪を見て、雪で遊ぶという地域アクティビティを紹介しており、コロナ前は1~3月の期間で400名の利用があった」と松木室長はいう。

また、マレーシア、シンガポール在勤時代のコネクションも生かし、富裕層個人に向けた直接営業、オーダーメイド型の旅行提案も推進する。松木室長は「地方と地方を直接結ぶためのホンダジェットとの提携や、高級車両タクシーの導入、ドライバーの英語教育といった取り組みを始めており、地域と一緒に新たな観光資源の開発・発掘・磨き上げを行うことで、富裕層のお客様も満足し、長期滞在できる地域を目指している」と語る。

有名観光地を巡るだけの単なる記号消費型でなく、より付加価値の高い体験型の商品開発には自社サービスのブラッシュアップと共に地域との連携も不可欠だ。従来、松本は東京や飛騨、アルペンルートなどから入り、翌朝松本城を見学して次の目的地へ向かうゲートウェイ的な滞在が主だったが、インターネットでは見つけることができない新たな地元の魅力を発掘し紹介していくことで、松本での滞在日数を伸ばすことに成功しているという。

また、この4月には包括連携協定を結んでいるインドネシアの私立大学の日本語・文化学科卒業生をアルピコHDで採用した。同社で初となる海外大学出身者の新卒採用だ。インバウンド対応の戦力として育てていきたい考えで、入社式にはグループ新入社員代表に抜擢され、答辞を述べた。

観光資源の発掘という意味では「ヨソ者」の視点も重要なポイントだ。例えば地域の人々にとって雪は迷惑なものでしかない。しかし、雪を見たこともない外国人観光客にとっては雪合戦をすることすら大きな体験となる。また、9月には同大学向けに、観光産業やホスピタリティをテーマにした集中講義を実施する予定である。

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