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日本の政治に「経済政策」などというものはない 経済政策の終焉か、政治そのものの終焉か?

東洋経済オンライン / 2024年9月7日 9時30分

現在のデフレギャップがいくらあるかなどはエコノミスト間では論争するべき問題であるが、政治家により公約として論争されるものではない。必要な景気対策はやるということであり、それは論点にならない。

この点でよく論点として挙げられるのが、「財政再建か、経済成長か」というもので、究極の選択を政治家(あるいは論戦相手)に突きつけて喜ぶ人々がいる。この論点を設定する時点で、財政再建は後回しですべては経済成長からという主張をして、究極の選択のように論戦を挑み、「財政再建も重要だ」とでも言おうものなら、「財務省の回し者」とレッテルを貼り、国賊扱いをする戦法なのである。

この小賢しさはともかく、この論点の設定は無意味である。なぜなら、そもそも財政と経済成長は二者択一でなく、別の論点であり、どっちが重要という問題ではなく、どちらも考慮せざるをえないのである。財政再建に関しては、どのような手段でどのくらいのペース、時間的な目標でというのは議論すべきことであるが、テクニカルな戦術問題であり(後回しという無視戦術も含めて)、経済成長戦略はそれとは別個に議論するべきものである。

財政再建は経済成長の障害にはならない。なぜなら、経済成長戦略と、より整合的な増税あるいは歳出削減をすればいいのであり、「とにかくマクロ経済を拡大しなければならない」というのであれば、それは成長戦略ではなく、大規模景気対策という第2のカテゴリーのものであり、それは景気判断に基づきやるべきものである。

したがって、経済政策として取り扱うべきものは、いわゆる「成長戦略」に限られることになる。この話は、この連載でも議論したことがあると思うが、現在の成熟国の経済において政府による国家経済成長戦略というものは存在しない。あるいは、絶対にうまくいかない。なぜなら、世界経済における国家の役割が低下しているからだ。

財政健全化もかつては、国債の格付けが下がると、どんな優良企業でも国家の国債の格付けを超えられないから、すべての企業に影響があると言われてきたが(今でもそう信じられているが)、実際には日本国債よりもトヨタ自動車の社債のほうが信用力が高いのは誰の目にも明らかだ。そして、ストレートな社債でなくともさまざまな手法が存在するので、自国国家と企業の依存関係は薄まっていく一方だ。

産業政策の有効性も今やほとんど皆無

さらに、かつての日本の経済政策の中心と思われていた産業政策、これも現代においては有効性はほとんどないといえるだろう。政府が特定の産業を選んで、そこに集中投資をする(それを促す)というのは通用しない。

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