日本の政治に「経済政策」などというものはない 経済政策の終焉か、政治そのものの終焉か?
東洋経済オンライン / 2024年9月7日 9時30分
民間セクターに十分な資本があり、成功するとわかっている分野には過剰なまでに融資も資本も集まる。それでも政府が援助する必要があるのは、何らかの産業側に思惑がある場合だ。
例えば、EV(電気自動車)がその典型だ。欧州は「打倒トヨタハイブリッド」という下心や、ディーゼル分野での不正がばれて、ほかに選択肢がなくなったので、今度は環境問題を利用してEVオンリーにして世界を支配しようとしたが、補助金が続かず、また実用性にも大きく劣り(誰もがわかっていたことだが)、アメリカの離反だけでなく、中国に正面から対決されて負けてしまった。
半導体への補助が盛んだが、これも経済安全保障の名の下に、企業サイドにうまく補助金をかすめ取られているだけのことだ。
また、漫画アニメが成功したのは、経済産業省に漫画課もアニメ課もなかったからで、政府がクールジャパンなどと言い出してから雲行きが怪しくなり、政府のクールジャパンは見るも無残なことになった。
国が方向性、ヴィジョンを示すというが、そんな人材は政府にいないし、審議会に出てくる人はお人よしか暇人か、セミリアイアした方々が主体で、気鋭の人々は政府とかかわる暇がない。だから政府のヴィジョンは業界で最も遅れているヴィジョンである。
「規制改革」も経済政策にはならない
そもそも、現在はドッグイヤー、不透明な時代で、ヴィジョンがない時代であり、起きた変化にすばやく対応することがすべてであり、これからの世界はこうなるというヴィジョンタイプのカリスマコンサルタントは、コンサル業界では食っていけず、政府か大学で養ってもらっている。
一方、規制緩和も経済政策としては論点にならない。例えば、ライドシェアを改革マインドの試金石のように言う自称政策通の人がいるが、そんなものは、ライドシェアをしたほうがいいに決まっているが、利権があるといったって、そんなものはそこらじゅうにあり、それだったら、例えば薬の処方箋利権とでも戦ったほうがよっぽど国のためになる。タクシーは日本の弱点の1つだが、それだけのことだ。
また、かつて郵政民営化ができるかどうかが国家の将来の天下分け目のようなことを言っていた首相がいた。実際、民営化したが、単に日本郵政は苦戦していて、民間にはかなわず、公的機関的な良さも失われ、何が天下分け目だったのか、まったく意味不明だ。ただ1つの大きな金融機関(および運送会社)が衰退しているだけのことだ。
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