黄色い涙を流す幼女を看取った母の闘病手記 胆道閉鎖症で亡くなった娘と向きった4年間
東洋経済オンライン / 2024年11月4日 9時40分
<電解質のバランスがくずれ カリウム不足で補正する。
少量の鼻出血。
このころはもうほとんどおすわりもできずねたきりのようになっていた
せっかく ついこの間まではつたい歩きまでしていたのに>
(1989年12月17日)
<とにかくぐったりしている
「まゆちゃん がんばって! えらいね」というと「うん」とうなずくだけで あとはまったくしゃべらない。>
(1989年12月18日)
2歳の誕生日もクリスマスもケーキで祝うことは叶わなかった。鼻から入れたチューブからわずかなミルクを摂取する我が子。平成元年から平成2年に移るこの年は、年末年始の外泊もできなかった。家族や2人目の子のことも心配だが、身体はひとつしかなく、茉友香ちゃんに付き添う仕事は自分にしかできないと自分に言い聞かせる。
そして、1990年春の3歳の誕生日もケーキで祝うことはできなかった。絶食と吐血。発熱を繰り返し、身体中にチューブが差し込まれた状態が長く続いている。
ストレスのせいか夏頃には髪が抜けるようにもなった。絶食が続く日々。それでも食欲があることは、日々の記述から読み取れる。
<茉友香はNGチューブからミルクをいれるだけで 口からはまったくのんだりたべたりできなかった
大部屋では皆それぞれにごはんやおかしをたべたりしている
私はできる限り茉友香にみせないよう努力した。
しかし本人は自分はたべられないのに人がたべているのをみたがった。
親の私からみれば何とも残酷だった
でもとにかく「みたい」といって 茉友香はきかずじっと人がたべているのをみていた。>
(1990年8月14日)
入院中は病室の空き具合や茉友香ちゃんの体調の具合によって、複数のベッドが並ぶ大部屋と個室を行き来した。大部屋では同病と闘う子と付き添いの家族がいて励ましてくれたが、見舞い客を含めて人と接することも増える。あるとき、事情を知らない人が茉友香ちゃんを見て「生後何カ月ですか?」と聞いてきた。この頃、体重は7キロを切っていた。
流した黄色い涙
茉友香ちゃんの状態は日に日に厳しいものになっていく。この頃のノートには血液検査の結果を淡々と記す日記が連続しているが、基準値が0.2~1.2mb/dLとされるビリルビンの項目には「28.4」や「30以上」といった桁違いの数字が記されている。意識が朦朧とするなかで茉友香ちゃんが流した涙は黄色かったとも書かれていた。
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