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「中居正広とフジ」叩く人の"正義"に欠けた視点 厳罰を求める一方で、大事なことが忘れられている

東洋経済オンライン / 2025年1月10日 13時30分

最後に渦中の人となっている中居さんに話を戻すと、自身のコメントに「今後の芸能活動についても 支障なく続けられることになりました」というフレーズがあり、これが人々の新たな怒りを買ってしまいました。

もともと芸能人は世間の人々とスポンサーあっての職業であり、両者の反応を無視して活動するのは難しいところがあります。もし当事者間で解決し、法的にも問題なかったとしても、世間の人々とスポンサーに受け入れてもらえない状況が続く限り、今までのようにテレビ出演することは難しいでしょう。

実際、法的に問題ないスキャンダルでもイメージダウンなどから仕事が激減してしまう芸能人が少なくありません。しかもこれらは世間の人々もスポンサーも知っていることだけに、トラブルを起こした本人が「続けられることになりました」と宣言したことでさらなるイメージダウンを招いてしまいました。

ただ、テレビという活動の場が失われたとしても、このままフェードアウトするような形で納得できる人は少ないでしょう。中居さんは30年超にわたって第一線で活躍してきた影響力のある人だけに、一方的な文章ではなく自らの声で何らかの言葉を発することが社会的責任のように見えます。

被害者保護の観点から詳細を語る必要性こそないものの、自分の思いを伝える機会をいつどのように設けるのか。それが類いまれなMCのスキルだけでなく、SMAPというグループ、寄付や炊き出しといった慈善活動などのポジティブな面の印象や評価を左右するでしょう。

しかし、仮にテレビの世界からフェードアウトした場合、「過去の出演番組を映せない」「SMAPの楽曲が使えない」という状態が適切かどうかは議論が必要かもしれません。

そもそも相手女性がそれを望んでいるのか。さらに数年先も同じような気持ちなのか。示談したのなら、まれに映像や音声で使われる程度ならいいのか。放送ではなく配信のみにとどめたほうがいいのか。

現段階では真偽も罪深さもわからないものの、「訴訟を起こされていない」「刑事罰を受けていない」という点で、どれだけの社会的制裁が適切なのか。自分たちが生きていく社会を守っていくうえで、1人ひとりが考えていきたいところです。

木村 隆志:コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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