「40代なのに老害」兆候のある人が始めたい習慣 老人なりの「安らげる居場所」を自分でつくる
東洋経済オンライン / 2025年1月24日 11時0分
あれもこれもと心配ごとが多すぎて、身動きがとれなくなっているのが現代人。どうしたら、不安に囚われることなく、「今、この瞬間」を全力で生きることができるのでしょう。
新著『考えすぎないコツ』では、禅僧であり世界的な庭園デザイナーでもある枡野俊明さんが、「頭をからっぽにして、心を無の状態にする」ためのヒントを解きます。
本稿では、同書から一部を抜粋してお届けします。
「自分が不要になる日」が恐ろしい
老害。自分が築き上げた立場や地位にしがみつき、若い人たちに譲ろうとしないシニアをそう呼びます。
【要約でわかる】40代で「老害」と呼ばれないために心がけること
最近、老害を非難する声のみならず、「老害になりたくない」という声も、大きくなっているように思います。
シニアと呼ぶにはまだ早い40代にも「知らず知らずのうちに、若い世代の活躍を妨げているのではないか」という恐れがある。こうした心情はどこからやってくるのでしょう。
生物学的に見れば「老い」は「死」に近づくことを意味しますが、恐ろしいのは死だけではありません。時代が求めるものとズレが生じ、自分が「不要なもの」になるかもしれないという不安が、老いをより恐ろしいものにしているのではないでしょうか。
例えば、テクノロジーの進展はいつの時代も大半のシニアを置き去りにしてきました。18世紀の産業革命のとき、機関車が走り始める以前と以後の仕事では、大きな隔たりがあったはず。いくら「昔の仕事はこうだった」とシニアが強弁しても、若者は「今と昔は違う」と一蹴したでしょう。
AIが日常に入り込んできている現代においても、同じことが起きているに違いありません。老害になりたくないと努力する人にも、自分が老害になるはずがないと油断している人にも、若さにあふれ今まさに老害を批判している人にも、平等に「老い」は迫っているのです。
しかし、老いは本当に「恐れる」べきものなのでしょうか?
確かに、単純な能力を比較するなら、シニアは若者にかなわないでしょう。最新のテクノロジーを使いこなし、新しい価値を創造するのは、いつの時代も若者の役割です。
それでも、シニアの役割がなくなるわけではないと、私は思います。若者の役割とシニアの役割は、別物だからです。
「閑古錐(かんこすい)」という禅語があります。
閑古錐とは、使い古されて、先がまるくなった錐のことです。新しい錐は先がするどく尖り、すばやく穴を開けられる反面、使う人を傷つける恐れもあります。それに比べると古錐は、穴を開けるのに時間は少々かかるかもしれませんが、けがをする心配は少ない。
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