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真冬に本領発揮する、「津軽鉄道」の名物車両たち ストーブ列車にラッセル車…、厳寒期の風物詩

東洋経済オンライン / 2025年1月24日 6時30分

凛と冷えた金木駅に到着したストーブ列車。駅名標の文字はつがる市の書家相馬呑気氏(故人)によるもので五所川原の立佞武多の館などでも目に触れる。滋味深い文字が津軽の地の温もりを感じさせる(写真:久保田 敦)

鉄道ジャーナル社の協力を得て、『鉄道ジャーナル』2025年3月号「冬に本領 風雪の津軽鉄道」を再構成した記事を掲載します。

東京を朝6時台に出ても昼の列車に乗れる

津軽五所川原―津軽中里間20.7km。津軽半島の内陸に延びる津軽鉄道は冬のストーブ列車が風物である。熱気ほとばしる石炭ストーブとスルメを炙る香ばしい匂い。その一部始終を体験しに出かけて存分に浸るとともに、澤田長二郎社長から内情も聞いてきたが、ここではストーブ列車に乗り込む際に目にする、昭和も30年代にスリップしたような文化財級の車両を紹介したい。

【写真を見る】シンボリックな機関車を先頭に一般旅客用の津軽21形気動車と旧型客車を連結した編成が従来のストーブ列車。アテンダントが石炭ストーブでスルメを炙り始めると……

東京6時32分発の「はやぶさ1号」に乗れば、タイトな乗り継ぎながら新青森9時57分発の奥羽本線普通を捕えることができ、川部10時38分発の五能線で五所川原には11時05分着。12時00分発の津軽鉄道153列車に乗れるのだから、ついつい時代は変わったものと思ってしまう。

「はつかり」「ゆうづる」「みちのく」「十和田」「八甲田」などの名は、もう昭和の演歌の世界に等しい。とは言え、青森で一晩を過ごし、息が詰まるほどの凍った空気を吸ってから、さぁとばかりに出立するほうが、気持ちが整うというものだ。

津軽五所川原駅は、JRの五所川原駅の脇に一歩引いて佇んでいるが、JR駅舎に対して何とも古びた木造モルタルで味があると言うか何というか。目の前の本社ともども昭和30年代の世界だ。中は木枠の小さな出札窓口に津軽鉄道や地域のグッズをところ狭しと並べた売店、そして手縫いの座布団を載せたベンチの前で石油ストーブが燃えている。

見上げる幕板には立佞武多の制作法で作られた(本物よりずっと小さな)張り子のお面や、津軽鉄道を支援する人や法人の名を刻んだ名誉駅員の金属プレートが並ぶ。大きな盤面に筆文字で書かれた発車時刻表が郷愁を誘う。

「津軽の温かい人情が燃えるレトロ車ストーブ列車運転 12月1日より翌年3月末日」と掲げている。

9時35分発151列車の次は10時45分発の5列車まで間があるので人の姿はなかったが、その時間に訪れたのは車庫で機関車の整備を見るためだ。舘山広一運輸課長に帯同させてもらう。改札口を入るとJR五能線の1番のりばで、そこから跨線橋に上がって津軽鉄道ホームに向かう。出入口は別だが中に入ると一緒という造りが、弘南鉄道大鰐線の大鰐駅(JRは大鰐温泉駅)ともども残っている。JR側よりも細い跨線橋を下りると島式ホームで、それに隣接して小さな車両基地がある。留置車両の脇をすり抜けて検修庫へ行くと、茶色い凸型ディーゼル機のDD352が佇んでいた。

0℃の車庫で凸型ディーゼル機を整備

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