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3回の「初代大統領」を務めたモンゴル人政治家 モンゴルの移行期を背負ったオチルバト大統領の軌跡

東洋経済オンライン / 2025年2月1日 16時0分

1990年5月、社会主義政党のモンゴル人民革命党が一党独裁を放棄した後、国家元首に就任したころのポンソルマーギーン・オチルバト氏(写真・ Forrest Anderson/Getty Images)

モンゴル国の初代大統領を務めたポンソルマーギーン・オチルバト氏が2025年1月17日に亡くなった(1942~2025年)。社会主義時代の人民共和国から市場経済への移行期に国政を担った立役者である。日本とモンゴルはその後、経済協力をはじめ結びつきが強まっている。現在でも重要なアジアの民主国家として、日本は関係を強化している。その起点は、オチルバト氏だった。

モンゴル・中央アジアの遊牧文化など文化人類学が専門で、オチルバト氏とのロングインタビューも行ったことがある、国立民族学博物館名誉教授の小長谷(こながや)有紀氏にオチルバト氏の人生について解説してもらった。

筆者は2026年4月に佐賀県武雄市に開学予定の「武雄アジア大学(設置申請中、仮称)」の学長予定者としての仕事に集中していたため、最近はモンゴル国のニュースをチェックしていなかった。モンゴルの元大統領であるオチルバト氏の訃報(2025年1月17日没)が届いた。伝えてくださったのは佐藤紀子さんだ。

彼女は在大阪モンゴル国名誉領事を務めるなど、1990年代の民主化後のモンゴルとの交流に献身してきた方である。オチルバト氏一家との交流もあつく、彼の自伝『天の時』(原題、1996年刊行)で2001年に出版された邦訳『モンゴル国初代大統領オチルバト回想録』(明石書店)の企画者でもある。

社会主義から市場経済への移行期

一方で、私は彼女ほどオチルバト氏と交流があるわけではない。しかし2005年ごろに社会主義から市場経済への「移行」が始まってしばらくしたころ、当時顧みられていなかった社会主義時代について政治家たちから聞き取るという調査の一環で、長時間のインタビューに応じていただいたことがある(その全文は公開されており、ご関心のある方はぜひ、国立民族学博物館の機関リポジトリからダウンロードしてほしい)。

またインタビュー当時、オチルバト氏はモンゴル科学技術大学のエコロジー・持続可能な開発学科で主任教授をされており、同大学でセミナーなどを実施する際にもご協力を仰いだ。そういうわけだから、私が追悼を述べても、草葉の陰から怒って出てこられることはあるまいと思う。

一般的に、オチルバト氏を紹介する際には「モンゴル国初代大統領」と言及される。実は、彼は3種類の初代大統領を一身で経験している(小長谷有紀・前川愛共編『現代モンゴルを知るための50章』明石書店、2014年を参照)。

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