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「トランプ再び」を機にアメリカ信仰からの脱却を 「グローバル化の終わり」の先にある2つの方向

東洋経済オンライン / 2025年2月3日 15時30分

つまり同国において16世紀頃から資本主義が勃興する中で、たとえば1600年創設の東インド会社――株式会社の起源ともされる――に象徴されるように、イギリスは国際貿易の拡大を牽引し、さらに産業革命が起こって以降の19世紀には、“世界の工場”と呼ばれた工業生産力とともに植民地支配に乗り出していった。

その後の歴史的経緯の詳細は省くが、そうした「グローバリゼーションを始めた国」であるイギリスが、経済の不振や移民問題等の中で、グローバリゼーションに「NO」を発信するに至ったのが「ブレグジット」の基本的な側面と言えるのではないか。つまり逆説的にも、グローバリゼーションを最初に唱えた国が、その終わりをも最初に提起したのだ。

アメリカのトランプ政権も似た面をもっている。20世紀はイギリスに代わってアメリカが世界の経済・政治の中心となり(パクス・アメリカーナ)、強大な軍事力とともに「世界市場」から大きな富を獲得してきた。しかし中国をはじめとする新興国が台頭し、国内経済にも多くの問題が生じ始める中、トランプは政権1期目にもTPP(環太平洋パートナーシップ協定)からの離脱を実行し、今回の関税引き上げや移民規制など、まさに「グローバリゼーション」に背を向ける政策を本格化させている。

イギリスを含め、ある意味でこうした政策転換は“都合のよい”自国中心主義であり、グローバリゼーションで“得”をしている間は「自由貿易」を高らかにうたって他国にも求め、やがて他国の経済が発展して自らが“損”をするようになると保護主義的になるという、身勝手な行動という以外ない面をもっているだろう。

しかし一方、このテーマはもう少し複雑な別の論点を含んでいる。すなわち、以上とは別の意味で「グローバリゼーションの限界」や矛盾がさまざまに見え始めているのが現在の世界であり、今後はむしろ「ローカリゼーション」が重要となり、かつそれが進んでいく時代を迎えているのだ。

つまり環境問題などへの関心が高まる中で、「地産地消」ということを含め、まずはローカルな地域の中で食糧やエネルギー(再生可能エネルギー)等をできるだけ自給し、かつヒト・モノ・金が地域内で循環するような経済をつくっていくことが、地球資源の有限性やエコロジー的な観点からも望ましいという考え方が広がり始めている。

私が見るところ、こうした方向がかなり浸透しているのはドイツや北欧などの国々であり、これらの地域では「グローバル経済からまず出発してナショナル、ローカルへと降りていく」という具合に考えるのではなく、むしろ「ローカルな地域経済から出発し、ナショナル、グローバルと積み上げていく」という社会の姿が志向され、実現されつつある。

ナショナリズムとローカリゼーション

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