「トランプ再び」を機にアメリカ信仰からの脱却を 「グローバル化の終わり」の先にある2つの方向
東洋経済オンライン / 2025年2月3日 15時30分
ところで、アメリカ社会のもつ問題性を日本はもっと認識していくべきという主張に対しては、“いやそうは言ってもアメリカは経済面において日本の最重要パートナーであり、その社会のあり方に問題があろうとなかろうと、日本にとっての重要性に変わりはない”という意見が当然予想される。
これは確かにその通りの面があるが、しかしここで見落としてはならないのは次のような事実関係である。すなわち折にふれて話題にもなってきた点だが、日本の主要貿易国の推移を見ると、
・1990年 ①アメリカ(31.5%)、②ドイツ(6.2%)、③韓国(6.1%)
・2000年 ①アメリカ(29.7%)、②台湾(7.5%)、③韓国(6.4%)
・2020年 ①中国(22.1%)、②アメリカ(18.4%)、③韓国(7.0%)
という具合に、輸出総額に占めるアメリカの比重はかなりの割合で低下傾向にある(日本貿易会『日本貿易の現状』)。
また近年伸びが大きい「アジア」という括りで見ると、日本の輸出全体に占めるアジア諸国のシェアは1990年の31.1%から2023年の57.3%へと大幅に増加しており、この傾向は(インドなどを考えると)今後さらに進んでいくだろう。
もちろんアメリカが日本にとって貿易上の重要なパートナーであることは確かだが、その比重は低下しており、他方で中国や東南アジア、インドなどアジア諸国等の比重が高まっているのも事実である。したがって過度な依存ではなく、「分散」という視点で考えていくことが重要であり、かつ戦略としても「現実的」と言える。
私は今から20年以上前の2004年に『脱「ア」入欧――アメリカは本当に「自由」の国か』(NTT出版)という本を公刊した。ここでの「脱『ア』入欧」という言葉は、「アメリカとの関係性を相対化し、『欧(Eurasia)』つまりアジアやヨーロッパとの関係をこれまで以上に重視していく」という趣旨のものだが、以上のような点からも、「脱『ア』入欧」というテーマをさまざまな角度から考えていくことが重要になっているだろう。
2つの「後発国家」と“純粋”な資本主義vs.社会主義
ところで、本稿の冒頭でアメリカという国、そしてトランプ政権の理念や価値観を4つの論点として示し、そのうちの①(市場主義)と②(限りない拡大・成長志向)は合わせるとそのまま「資本主義」の定義と重なると述べた。要するに、アメリカという国ないし社会は一言で言えば“純粋な資本主義”と呼びうる国ないし社会ということだ。
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