全員「元会社員」ケーキ職人の平均年齢は75歳 1978年創業の味を守り続ける中目黒「ヨハン」
東洋経済オンライン / 2025年2月8日 15時0分
ここで働く以前に、チーズケーキを作ったことはありますか?
【画像】創業時から変わらないレシピで作られる、中目黒ヨハンのチーズケーキ
東京・中目黒の川沿いにある老舗のチーズケーキ専門店「ヨハン」の職人たちに質問すると、少し照れたような表情を浮かべる人もいれば、胸を張るようにして答える人もいた。
「ないですね~」「ありません!」
桜の季節には長い行列ができ、普段も客足が絶えない人気店を支える9人の職人の平均年齢は75歳。全員、企業で定年まで勤めあげた元会社員で、ケーキ作りは素人だった。
最高齢86歳、最年少64歳。スーツを脱いで、エプロンをかける。第二の人生を歩み始めた彼らに、どんな思いがあるのだろうか?
定年退職して9日後から勤務
ヨハンの朝は早い。始業は6時30分。職人のなかで最も店から離れた埼玉県川越市に住んでいる水谷雄一さんは、朝5時前に最寄り駅を出る電車に乗って、中目黒に向かう。
水谷さんは2024年2月、大学を卒業してから43年間勤めた化学メーカーの住友ベークライトを65歳で定年退職し、わずか9日後にはヨハンのキッチンに立っていた。
「会社の先輩がヨハンで働いていて、在職中から『退職したら、うちで働かないか?』と声をかけてくれたんです。会社では工場に3年、営業23年、購買を17年間担当しました。引退してブラブラしていてもしかたないし、やるならまったく違う仕事がしたいと思い、すぐに働き始めました」
ヨハンの歴史を語るうえで、住友ベークライトの話は欠かせない。創業者、故・和田利一郎さんは同社出身で、55歳で定年退職後(※当時の定年は55歳だった)、知人のアメリカ人女性からもらったチーズケーキのおいしさに感激し、起業を決意。その女性からレシピを習い、1978年2月、66歳の時にかつての同僚2人とともに店を開いた。
「なんでケーキなんだろう」
利一郎さんが亡くなった2008年以降、経営を担っていた妻、博子さんも2023年に他界。現在、3代目として経営にあたる長男の和田哲(さとる)さんは、こう振り返る。
「それまで背広を着てたお父さんが、なんでケーキなんだろうと思ったことをおぼえています。父がチーズケーキを作ろうと試行錯誤している時に、失敗作をたくさん食べました(笑)。店を開いた頃、目黒川沿いは土手で、周りになにもなかったんですよ。ほかに六本木とか候補地があったみたいだけど、おじいちゃん3人で細々とやるにはちょうどいいからと中目黒を選んだみたいです」
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