全員「元会社員」ケーキ職人の平均年齢は75歳 1978年創業の味を守り続ける中目黒「ヨハン」
東洋経済オンライン / 2025年2月8日 15時0分
60歳で独立して間もない頃は、それなりに仕事もあった。しかし、少しずつ依頼が減り始め、「年金が出る65歳までどうしたらいいのか」と悩み始めた時、東京新聞の記事を目にしてこう考えた。
「どうせイチから教わるなら、若い人より年上から教わるほうがいい」
子どもの頃、プラモデルやジオラマを作るのが好きで、指先の繊細な感覚に自信があったことも、背中を押した。
実際に働き始めてみると、先輩たちの動きに目を奪われたそうだ。
「桜の時期が忙しいっていう話を聞いていて、3月の中旬から本当に忙しかったんです。僕は初めての体験で、もう正直言ってヘトヘトなんですよ。みんな僕より年上なのに元気いっぱいで、すごいなと思いました」
仕事に慣れないうちは、用具を指定の位置に戻さなかったりして、先輩たちに怒られることもあった。増田さんは「この歳になって怒られるって、かみさんぐらいなんでね。ある意味新鮮です」と苦笑する。
娘の勧めで入社した「元事業部長」
ヨハンの職人は、最初に団子作りを教わりながら、ケーキの底にあたる「底板」と、ケーキの周囲を固める「帯」の作り方を学ぶ。その後、翌日に使うチーズなどの材料を揃える役目を与えられ、次にチーズケーキの上に載せるプルプルした食感のブルーベリー作りを担当、最後に「焼き」を担う。2日勤務したら1日休日というシフトで、焼きまでは少なくとも3年はかかるそうだ。
キッチンで使う道具の多くは、職人たちのハンドメイド。また、職人たちはローテーションで各工程の仕事を覚え、誰かひとりに依存しない仕組みになっており、作業の手順も効率的に定められている。これは、創業者の故・和田利一郎さんをはじめ、多くの職人がメーカー出身で、現場でのモノづくりを経験していたことが影響している。
「仕組みや道具を見て、感動しましたね。やっぱりメーカーにいた人たちだから、作るモノは違っても考え方がいいんだなって。ロジック的に見て、よく考えられています」と語るのは、1951年生まれの横浜出身、73歳の真崎請造さん。父親が兄弟と食品用包装フィルムなどを作る会社を経営していたこともあり、子どもの頃から工場に出入りしていたという真崎さんは、大学を出て機械メーカーのアマノに入社。駐車場のパーキングシステムを販売する事業部の部長まで務めた後、60歳の時に子会社に異動、63歳で役職定年した。65歳からヨハンで働くことになったのは、娘さんの一言がきっかけだった。
この記事に関連するニュース
-
天然酵母の食パンが人気 沖縄・浦添市の老舗「ホルト」、2月9日に閉店へ 仕事一筋49年の夫妻、これからしたいことは?
沖縄タイムス+プラス / 2025年2月5日 7時12分
-
【50代の転職STORY】大手百貨店から中小企業の中間管理職に…収入の変化は?
HALMEK up / 2025年2月2日 22時50分
-
若手「この転職先どう思います?」上司に聞く感性 史上最も「転職しやすい時代」に離職を防ぐ方法
東洋経済オンライン / 2025年1月31日 8時5分
-
浅はかでした…〈月収60万円〉57歳サラリーマン〈退職金3,200万円〉に有頂天。早期退職で会社を去るも、100社応募も再就職決まらず「プライド崩壊」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月14日 5時15分
-
「60歳で教師」になった女性が2年間で得た気付き 教師に憧れながら企業就職、からの伏線回収
東洋経済オンライン / 2025年1月13日 12時0分
ランキング
-
1トランプ氏「買収ではなく投資なら大好き」受け 日本製鉄はコメントせず 経産省は…
日テレNEWS NNN / 2025年2月8日 16時3分
-
2日ハムVS.プリマ、肉薄する「ソーセージ頂上決戦」 ブランドの拡大か、それとも価格重視か?
東洋経済オンライン / 2025年2月8日 7時30分
-
3過熱する「フジのアナ報道」鵜呑みにする"危うさ" 世間のイメージとのギャップに局アナたちも苦悩
東洋経済オンライン / 2025年2月8日 8時0分
-
4「ギョーザの街」宇都宮、首位奪還ならずも「一喜一憂しない」…調査に外食など含まれず
読売新聞 / 2025年2月8日 17時9分
-
5なぜ東海道新幹線は雪に弱いんですか?―― どうしても“遅れやすい”理由 雪以外にもあった
乗りものニュース / 2025年2月8日 14時12分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)