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「俺のごはんは?」育児でヘトヘト妻の“怒りの地雷”を踏む夫の一言【夫にイライラするのはどうして? 脳から科学する“妻のトリセツ” 第2回】

Woman.excite / 2019年3月21日 21時0分

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イラスト:中村こてつ


パパの無邪気なひとことが妻をイライラさせ、ときに炎上することも。しかもたった1回の失言について、20~30年たっても夫はなじられることが…。

なぜ? どうして??

『妻のトリセツ』(講談社+α新書)の著者であり、人工知能研究者、脳科学コメンテイターとして活躍する黒川伊保子さんに、今回は夫が避けるべき言葉や言動、解決策を具体的にうかがいました。





お話をうかがったのは…
黒川伊保子(くろかわ・いほこ)さん


人工知能研究者、脳科学コメンテイター、感性アナリスト。コンピューターメーカーでAI(人工知能)開発に携わり、脳とことばの研究を始める。1991年に全国の原子力発電所で稼働した世界初と言われた、日本語対話型のコンピューターを開発。『女の機嫌の直し方』(集英社インターナショナル)、『夫婦脳~夫心と妻心は、なぜこうも相容れないのか』(新潮文庫)ほか著書多数。



■過去を蒸し返す妻、解決ずみと思っている夫

――一度失言しようものなら、何年たっても妻からネチネチなじられる、というボヤキがパパたちから聞かれます。これは一体なぜでしょうか?

黒川伊保子さん(以下、黒川さん):女性脳の中では、一定程度の体験記憶が「心の動き」と共に格納されています。感情・情動・気分と呼ばれるようなものです。

そして、「心の動き」があったとき、それをトリガー(引き金)にして、過去の類似体験を瞬時に引き出すことができるのです。

例えば「子どもが急に熱を出した。どうしよう」なんていう気持ちになったとき、過去の同じ気持ちにひもづけされている体験記憶を瞬時に引き出してきます。

考える間もなく直感で、半年前に公園で立ち話したママ友の体験談や、何年も前に見たテレビのワンシーン、小さなころに母や祖母がしてくれたことまで、するすると。

つまり、女性は子育てにおける数々のトラブルを乗り越えるために、ネガティブな感情をともなう記憶をしっかり保存して、何かあったらすぐ取り出せるようしているというわけです。

これは、母性本能として女性脳に備わった、すばらしい才能。臨機応変なトラブル対応力をつくりだす、感情データベースです。


ⓒlalalululala-stock.adobe.com


感情と記憶のセットは、ネガティブな感情でも、ポジティブな感情でもつくられるのですが、子育てには「いい思い出をつなぎ合わせて幸せになる」よりも「トラブル体験をたぐり寄せてトラブルに対応する」のほうがより重要なので、子育て時には、どうしてもネガティブトリガーのほうが発動しやすくなっています。

――それには夫が言った「ひどい」セリフ、夫にされた「つらい」体験も含まれるという。

黒川さん:はい、もちろんです。「無神経」「わかってくれない」なんていう感情にひもづけされたデータ群がしっかり存在しています。強く心が動けば、強く体験と結びついてしまいます。

怒りは強い感情ですので、これをトリガーにした体験記憶は、なかなか消えないですね。

だから、夫が「無神経」な発言をしたら、過去の類似発言の数々が臨場感たっぷりによみがえってくるんです。たとえ20年前の記憶でも。このため、あたかも今起きたことのように夫をなじる、なんていう事態が起こるわけですね。

■産前産後「心も体もボロボロな妻」に夫が言いがちな一言

――しかも産前産後の女性は特に取り扱い注意のようですね。

黒川さん:はい、覚えておいていただきたいのが、産前産後の妻は傷つきやすく、身も心もボロボロだということ。

その期間、女性ホルモンの量は目まぐるしく変化し、妊娠中も授乳中も栄養を赤ちゃんに与え続けることになります。


ⓒnaka-stock.adobe.com


つまり、激しいホルモン量の変化に翻弄され、栄養は不足し、そのうえ授乳や夜泣きで寝不足なので、まさに満身創痍の状態。

そうやって命がけで子どもを生み育てている妻に対して、「つわりは病気じゃないってよ」「今日のおかず、これだけ?」「わ! 部屋、散らかってるね」「俺だって大変」「赤ちゃんと1日一緒に遊んでいられていいな」なんて言葉をかけたら…。

「つわりでつらかったのに!」「子どもがいて1日大変だった。絶対に許せない!!」と憎まれ、恨まれ、しかも事あるごとに思い出され、怒りをぶつけられることになるのです。





■そこら中にある「妻の地雷」踏まない方法は?

――では、地雷を踏まないための、会話のコツを教えていただけますか?


ⓒMonet-stock.adobe.com


黒川さん: 前回で述べたように、女性は「共感」の生き物です。妻にはとにかく共感し(共感のフリでもOK)、ねぎらいの言葉をかけることが大事。

具体的なシチュエーションを想定して、NGとOKをご紹介しましょう。

●子育てについて:「○○ちゃんが寝ない、体重が増えない」と妻が言ったら…

NG:「抱き方を変えては?」「母乳が足りてないのでは?」など原因や解決策を提示するのはダメ。ただでさえ妻は育児がうまくいかないことに対して、自分を責め腹を立てているからです。

OK:アドバイスの前に、妻がどんなに大変だったかを、心を寄せてしっかり聞いてあげましょう。

「えっ! 1日、そんなだったの? そりゃ、たしかに心配だね」「心細かったでしょ」「つらかったよなぁ」「ひとりで大変だったね」と声をかけてあげればいいのです。

「僕が帰ってきたんだから、しばらく横になってて」と休憩時間をあげるのもいい方法です。

●家事について:つわりで苦しみ、子育てに追われ、妻が思うように食事が作れなかったり、片づけられなかったら…

NG:「ごはん、ないの?」「俺はコンビニで弁当買ってくるからいいよ」というのは厳禁。

OK:「大変だったね」と共感したうえで、「心配するな! 俺が何とかする!」と冷凍うどんで、簡単な一品でもつくってあげましょう。

つわりのときは、ごはんの匂いがつらいという妊婦さんは多く、冷凍うどんは意外に救世主。アツアツのうどんに生たまごをからめる釜玉うどんや、「冷たいうどんに、かつお節とスダチやレモンをかけておしょうゆで」を試してみて。

ただし、人それぞれ食べられるものが違うのが、つわりというもの。トンカツしか食べられなかった、なんていう人も。希望を聞いてあげることも大事です。

「夜中に、私の食べたいあずきバーを買いに、コンビニまで走ってくれた」なんていう体験は、夫婦の絆になるかも。


上記のようにふるまえば、妻の脳には「本当につらかった時期に、優しく寄り添ってくれた夫」としてインプットされるのです。

――とにかく共感ですね。ただ、共感に慣れていない男性は、少々面倒だと感じるかもしれません。

黒川さん:でも、妻に一晩中しくしく泣かれ、20年、30年たっても恨まれ、罵倒され続けるよりはマシ、と考えてみては? そして「妻が母乳をあげている間だけは、我慢、我慢…」と呪文のように唱えてみてください。


今だけ、というか、今が肝心なのですね。連載最終回では、夫婦が仲良く連れ添えるコツをおうかがいします。


参考図書:
『妻のトリセツ』(講談社+α新書)


いつも不機嫌、理由もなく怒り出す、突然10年前のことを蒸し返す……。ベストセラー『夫婦脳』『恋愛脳』の脳学者が、理不尽な妻との上手な付き合い方を、「あるある」な事例と供に紹介した指南書。




(阿部桃子)

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