「男性の育休義務化」半数が戸惑い。夫がいても妻の負担が増えるだけの声も【パパママの本音調査】 Vol.348
Woman.excite / 2019年9月22日 17時0分
「男性の育休義務化」半数が戸惑い。夫がいても妻の負担が増えるだけの声も
イラスト:もづこ
共働き家庭が増えたことによって、女性だけでなく男性も育児休暇を取得する人が少しずつ増えつつあると聞きます。そんななか、男性の育児休暇を義務化を目指す動きも見られ始めています。今回は、男性の育児休業について、考えてみたいと思います。
■育児休業の義務化には半数以上が「賛成」
アンケートでは、男性の育児休業義務化に賛成かどうか聞きました。その結果、「賛成」と答えた人が50%を超え、半数以上のパパやママは男性の育児休業義務化を前向きに捉えていることがわかりました。一方で、「どちらとも言えない」、「反対」と答えた人を合わせると5割弱となり、簡単には結論が出ない問題だということがわかります。
賛成 53.9%
反対 10.0%
どちらとも言えない 36.1%
2016年10月から2017年9月までの間に妻が出産した男性において、2018年10月までに育児休暇をとった人は、全体の6.16%となっています(※1)。10年前は、同様の結果が1.23%だったのに比べると、上昇していることがわかります。
この背景にあるのは、共働き家庭の増加。2017年には共働き世帯1219万世帯、専業主婦世帯600万世帯となっていて、共働き世帯は専業主婦世帯の2倍にもなっています(※2)。ただ、女性の82.2%が育児休業を取得しているのに比べると、男性の育児休業取得率は、6.16%という数字は高いとは言えません。
そこで、近頃提案されているのが、「男性の育児休業義務化」。今年6月に永田町の有志議員が、男性の育児休業取得の義務化を目指す議員連盟を発足させたことで、注目を集めています。
■賛成派意見その1「夫にも育児の大変さを理解してほしい」
イラスト:もづこ
では、まず賛成派の意見から見ていきたいと思います。
これらの意見の裏側にあるのは、「子育ては夫婦で行うもの」という思いです。また、「かわいい時期を共有することで夫婦関係もよくなるのではないか」という声も集まっていました。
たしかに、産後のママは身体的にも精神的にもかなり追い詰められた状況になるため、何らかの助けを必要とすることが多いでしょう。里帰り出産をした場合でも家に戻ってたった一人で育児をすることの怯えからも、頼れる相手のパパがいてくれることは、どれほど心強いことかと思います。
■賛成派意見その2「義務化しないと取得率はあがらない」
© tatsushi - stock.adobe.com
また、制度はあってもなかなか利用が進まないため、義務化すべきだという声も多く集まっていました。
たしかに、職場の環境によってはなかなか育児休業の取得を申し出づらい場合もあるでしょう。先述した議連が目指しているのは、本人からの申請がなくても、企業側から休暇の取得を促すことを義務付ける仕組み。個人からは言いにくくても、企業側から促してもらえることで、制度を利用しやすくなるという側面は大いにありそうです。
■反対派意見その1「夫がいてもワンオペ改善にならない」
© tatsushi - stock.adobe.com
一方、「反対」、もしくは「どちらとも言えない」と答えた人たちの思いを探ってみたいと思います。
ほかにも、「ただのお休み状態でのんびり、ぐーたらされたら、大きい子どもが増えただけでイライラしそう」という意見も。たしかに、なんとなく育児休暇に入ってしまったら、パパ自身も手持無沙汰になってしまい、ただの休暇のように過ごしてしまいかねなさそうです。
パパからの「実際あまりなにもできない」というコメントには、切なさも感じてしまいます。ここにあがったような夫への辛らつな意見から制度が整うだけでは、夫婦で共同の育児参加、男女での協業体制は難しいように思えます。
■反対派意見その2「給料減額、復帰後の待遇悪化が怖い」
© milatas - stock.adobe.com
また、「反対」という考えの裏側には、給料が下がる、待遇が悪くなることへの切実な思いもあることがわかってきました。
ほかにも、「妻も減給、夫も減給されたら、家計はつらい。お金がないとより家庭はギスギスする」というコメントも寄せられていました。夫婦でダブルで育児休暇をとった場合には、2人とも減給となり、生活が立ち行かなくなってしまう場合もあるでしょう。
日本ではまだまだ男性の給料の方が平均的に高いため、どうしても夫の給料に頼らざるを得ないという家庭が多く、義務化されたら困るという意見があるようです。また、「復帰後の待遇が不安」という声からは、取得すればいいのではなく、その先までしっかりと見通すことの重要性を実感させられます。
■男性の育児休業、どう変わればいい?
© amarettomilk - stock.adobe.com
それでは、男性の育児休業については、現在の状況からどのように変わればいいのか、コメントをもとに考えてみましょう。
●妻の気持ちを受け止め、寄り添ってほしい。女性の自分の時間がないほどの大変さを感じて欲しい
●子どもにとっても父親の存在は大きい。子どもを愛おしいと思ってほしい
●男性には、「父親」として自覚を持ってほしい
●出産前後に1週間、健診や予防接種で14日分など休める日を作って欲しい
●子どもの風邪や病気で使える看護休暇が欲しい
●会社が育休を取りやすい雰囲気に。現在、暗黙で「取ってはいけない」空気、復帰後の冷たい態度、嫌がらせがある
●給料や立場が悪くなる状態ではなく、取得した方がより良い方向になる仕組みにしてほしい
© UTS - stock.adobe.com
●夫婦でしたいこと、夫に期待するフォローをきちんと話し合わないと、男性にとってはただの連休になる可能性がある
●性別関係なく得手不得手がある。女性が家事育児というレッテルを貼らないとうまくいくのでは
●自分は育児休暇が取れなかった。だから部下が申し出たときに承認欄には印鑑を押す
© chihirock - stock.adobe.com
ここまで、男性の育児休業義務化について、さまざまな意見を見てきました。そもそもこの記事でも「男性の」育児休業という言い方をすること自体に、男女差があることをあらためて実感させられたような気がします。こうした議論をしなければならないこと事態にも、改善の必要性があるように思えます。
女性の就業状態や、実家や義実家の協力度合い、子どもの人数や住んでいる地域など、さまざまな要因から、夫の育児休業取得の賛否は、家庭ごとで異なるでしょう。
またコメントからもわかるとおり義務化しただけで何もかもが解決する問題ではないように思えます。男性側がただの連休となってしまわないようにするためには、意識改革も必要になるでしょう。そのためには男性の家事育児能力の向上のための教室などが必要かもしれませんし、妻としても、どうすれば夫が育児参加をしやすくなるのか十分にコミュニケーションをとる必要があると思います。とくに育児で主導権を握りがちな妻が夫にダメ出しばかりしてしまうと、育児へのモチベーションも下がってしまうかも。
さらに育児休業中の給付金、パタハラ(パタニティ・ハラスメント/男性の育児休業制度などを利用で 上司・同僚がいやがらせをすること)が起こらない組織づくり、女性の収入面向上など、問題は山積みのように思えます。
でも夫婦でお互いにできることとできないことを再確認して、補い合うことができれば、この先も同じ方向に協力しながら歩いていけるように思えます。子どもたちの大切な一瞬しかない幼い時期を、できれば夫婦どちらかが1人で抱え込み過ぎず、夫婦でいっしょに乗り越えていけるといいですね。
© Tierney - stock.adobe.com
Q.男性の育児休業義務化、賛成? 反対?
アンケート回答数:6400件
ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
(高村由佳)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
時短・在宅のワーママですが、仕事中も子どもが気になり仕事が手につきません…… やっぱり辞めようと思うのですが、みんなはどのタイミングで辞めますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月26日 9時20分
-
気づいたら修復不可能に… 既婚者たちがこっそり語る「夫婦関係がこじれた原因」
ananweb / 2024年4月19日 21時45分
-
「子ども・子育て支援金」負担増で少子化対策にはむしろマイナス!?
RKB毎日放送 / 2024年4月19日 15時46分
-
上野千鶴子×海老原嗣生「30代前半の未婚率4割時代…40代出産は共働き世代の有望な選択肢か」
プレジデントオンライン / 2024年4月17日 8時15分
-
「自分も育児にかかわりたい」夫の提案に妻が猛反対…男性育休「取りたくても取れない」パパたちの悲鳴
日刊SPA! / 2024年4月2日 8時51分
ランキング
-
1ねんきん定期便の見込額に注意!年金から天引きされる4つのお金を知っておこう
オールアバウト / 2024年4月25日 21時20分
-
2お目当ては“ワケあり”商品……半額以下も! 購入客もナゼ? 安さの理由 物価高の家計助かる販売所へ『every.気になる!』
日テレNEWS NNN / 2024年4月25日 17時46分
-
3Z世代が選ぶ「ゴールデンウィークあるある」トップ10発表! - 「どこに行っても激混み」「結局家が落ち着く」「昼夜逆転」を抑えた1位は?
マイナビニュース / 2024年4月26日 16時27分
-
4麻生氏のトランプ会談に透ける下心丸出しな“片思い”…前大統領にいたっては親友シンゾーの死を忘れた?
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月26日 9時26分
-
5【SNSで話題】エアコン冷房「室外機に濡れタオル」で節電になるのか - ダイキンが検証結果を発表
マイナビニュース / 2024年4月25日 9時42分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください