【医師監修】PMSかも? と思ったらリストでチェックしてみよう
Woman.excite / 2019年11月22日 21時0分
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生理前になると「何となく気持ちも体も不快になる」、そんな症状はありませんか。心当たりがある人は、もしかしてPMS(月経前症候群)かもしれません。気になる場合はリストをチェックして症状を確認しておきましょう。
成城松村クリニック院長 松村圭子先生
婦人科専門医。1995年広島大学医学部卒業、同年広島大学付属病院産婦人科学教室入局。2010年、成城松村クリニックを開院。女性の「体の健康」「心の健康」のために、一般の婦人科診療だけではなく女性のあらゆる面をトータルにケア。講演、執筆、TV出演など幅広く活動。
著書に、『女30代からのなんだかわからない体の不調を治す本』(東京書店)、『医者が教える女性のための最強の食事術』(青春出版社)など多数。
■PMSとは
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PMSって何?
PMSは「月経前症候群」といって、生理前に表れる「心と体の不快」のことです。生理前になると「何だか気分が落ち込む」「イライラしてしまう」「泣きたくなってくる」などの精神的な不安定や、「体調がいまいち優れない」「眠くなりやすい」「疲れやすい」などの体力的なものが出てくることをさします。
これらの症状はおおむね生理が始まる3日から10日ほど前から起こります。身体的または精神的な不快があり、生理が始まると同時に良くなっていきます。
生理前は約70~80%の女性が何らかの不快症状を感じているといわれますが、PMSはその症状が病的にはっきり出る状態ととらえると分かりやすいでしょう。
PMSの症状は細かく分けると200以上あるといわれているのですが、大きく「心の不調」と「身体の不調」に分けられます。どちらの症状が強く出ているか、または同じくらいか、などをチェックし、この傾向が分かればPMS対策やセルフケアもやりやすくなります。
症状が軽度なら日常生活の改善で快方に向かうこともあるのですが、心の不調が重度の場合は精神疾患として考え、抗うつ剤が必要なこともあります。
さらにPMSを放置してしまうと症状が悪化して、PMDD(月経前不快気分障害)を引き起こしてしまうことがあります。
PMDDとの違い
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PMDD(月経前不快気分障害)とは、PMSのなかでも、さらに精神的な不快が強く、情動不安定になります。日常生活を送る上でも影響が出てくることが多いです。
PMDDはうつ病などと同じ分類にあたり、抑うつ障害群のなかのひとつです。
ちょっとしたことでもイライラしたり、暴力的になったり、すぐに怒ったりなど、「怒り」を出しやすくなります。易怒性(いどせい)が認められ、感情コントロールが難しくなるため、社会生活でも問題が生じやすくなってしまいます。
また、悲しみや絶望感、ひどい落ち込み、不安、緊張などが認められるケースもあり、重症の場合は自殺願望が起こることもあります。
症状は「生理がはじまる一週間から10日前くらい」から出てきます。その精神症状は激しく、生活に支障が出るほどですが、生理が始まると同時に軽減。生理が終わってから一週間くらいで治まってきます。
PMDDの特徴は、「生理の周期に合わせて出てくる精神症状」という点です。もし同じような症状が出たとしても、生理の周期と関係ない場合はこの診断にはいたりません。また、日常生活に支障がない場合も同様です。
PMSとPMDDで症状が共通している部分としては、「生理周期に関連して現れる」というところです。異なるのは、PMSは身体症状と精神症状を含むのに対し、PMDDは精神症状が強く出ることです。
PMSの精神症状は比較的軽いですが、PMDDでは日常生活が難しくなるくらいの重症になってしまうところも大きな違いです。
参考サイト:
日本産科婦人科学会「月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)」
■PMSチェックリスト
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PMSにはタイプがある
PMSには主に3つのタイプがあり、自分がどのタイプか知っておくことをおすすめします。知っていることで自分なりに対応することができるようになるからです。
まず1つ目は「とにかく甘いものが食べたくなる」タイプです。
この場合、減量中でも食べたくて仕方ない気持ちになったら、我慢せず食べてしまいましょう。無理に食べたい欲求を抑えつけていると、後から衝動的に甘いものを大食いしてしまうことにも繋がります。食べるなら、適当にジャンクフードを食べるのではなく、本当に欲しいと思うものを適量食べることがおすすめ。
自分のご褒美においしいスイーツを食べることは、心の栄養にもなります。生理後は女性ホルモンのエストロゲンが増えて代謝が高まるので、食べすぎた分はそのときに取り戻すなどで乗り切りましょう。
2つ目が「肌に吹き出物が出やすくなる」タイプです。
生理前は吹き出物予防の基礎化粧品などで保湿する、動物由来の脂質を控える、などの工夫をしておきましょう。油断大敵な便秘対策には、乳酸菌や食物繊維を積極的にとっておきます。
3つ目は、「精神的に落ち込みやすい、またはイライラしやすい」タイプです。
生理前に過度なストレスがかかると、自律神経にも影響し、くよくよ落ち込んだり、イライラ怒ったりしやすくなります。自分自身にストレスがあまりかからないような工夫も大切でしょう。例えば、「自分ひとりで趣味を楽しむ時間をあらかじめ確保しておく」などもいい方法です。
また、自分の生理が何日でくるのか「基本の周期」を確認し、自分の体のために「PMS日記」をつけてみるのもいいでしょう。基礎体温をグラフにして、毎日の心の状態、体の状態を記します。
自分のホルモンバランスを知るのにも役立ちますし、生理何日前から不快症状がはじまって、どうすれば心地よく過ごせるのか、を把握しておくことは重要です。
無料で診断! PMSの症状チェックリスト
PMSの症状を各自チェックしてみましょう。診断は「心の症状」と「体の症状」の大きく2つに分けて確認します。
PMSによる「心の症状」をチェック
次の質問で当てはまるものはいくつありますか?
・すぐ落ち込む
・緊張がほぐれない
・やる気や気力が低下
・くよくよしてしまう
・人にあまり会いたくない
・自分の性別がツライ
・すぐ泣いてしまう
・イライラする
・不安や心配が多い
半数以上にチェックがついたら、精神的な症状が強く出ていると考えます。日常生活を見直しながら、必要な場合は精神科や心療内科、婦人科などを受診するのがいいでしょう。
PMSによる「身体の症状」をチェック
次の質問で当てはまるものはいくつありますか?
・おなかが痛い
・便秘になる
・疲労が抜けない
・夜中に眠れない
・いつも眠気がある
・肩や首がこる
・ニキビや肌荒れがある
・むくみやすい
・乳房が張る、痛む
・頭痛がある、頭が重い
過半数のチェックが付いた人は、体の症状が強く出ている人です。日常生活習慣を見直し、婦人科、皮膚科、内科に相談してみるといいでしょう。
参考サイト:
厚生労働省ヘルスケアラボ「月経前症候群(PMS)/月経前不快気分障害(PMDD)チェック」
厚生労働省ヘルスケアラボ「月経前症候群(PMS)」
■PMSへの対処方法
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PMSチェックで当てはまる症状が多いなら病院へ
上記のPMSチェックはいかがでしたか。「心の症状」「身体の症状」のチェック項目を確認し、もしそれが生理前に強くなり、生理が始まるとおさまっていくのなら、PMSの可能性があるでしょう。
PMSの症状や重さは個人差があり、当てはまるチェックの数が少なくても「日常生活に支障がある」場合はPMSが重いケースに該当します。
PMSチェックで当てはまる症状が多い場合はもちろん、症状が少ない場合も日常でつらいと感じるなら、病院で治療を受けましょう。
西洋医学と東洋医学
PMSの症状は個人によってさまざまで、第三者からは気づかれにくいことがあります。ただ、つらくても「これは誰でもあること」とひとりで我慢してしまうことは一番良くありません。きちんと治療すれば改善することも多いのです。治療は西洋医学と東洋医学からアプローチが可能です。
西洋医学:西洋薬
西洋医学からの治療には「低用量ピル」を用いて排卵を抑える方法などがあります。また「抗うつ剤」のSSRIなどで、落ちこみや不安感などの不快な症状を和らげることができます。
東洋医学:漢方薬
さらに東洋医学の漢方薬も有効です。それぞれの症状や体質に適切な漢方薬を用いることで、不快な症状を緩和することができます。漢方の効能は多岐に渡るため、薬剤師や医師と相談するといいでしょう。
自分でできる対処方法
PMSの症状を緩和するために、日ごろから自分でできることがあります。ここで確認してみましょう。
イライラしてしまうことを避ける
もし、仕事でイライラすることが多いなら、まずは働き方の改善を考えましょう。仕事に忙殺されていたり、家事と仕事を両立させたりと、現代は女性もストレスや疲労がたまりやすい環境が多いです。ストレスや疲労はPMSを悪化させる要因です。
環境を全部変えることは難しいですが、少しでもストレスを排除できるように、シフトや部署など、相談できる部分はしていきましょう。
食生活に気をつける
食生活も重要です。栄養バランスのとれた食事をし、規則正しい生活をしていく努力をしましょう。嗜好品や砂糖の取りすぎには注意します。
また、むくみの原因になる塩分や、イライラ、不眠の原因にもなるカフェイン、そして過度な飲酒も控えていきます。イソフラボンなどのサプリメントやアロマテラピーも上手に取り入れ、心や体を休ませていたわることも大切です。
日頃から運動をする
日頃からの適度な運動も効果的。ストレス解消に役立つので、PMSの症状を和らげてくれるでしょう。毎日の生活に軽い運動を取り入れることで、すっきりと快適に過ごせるはずです。
■まとめ
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PMSは放っておくことが一番よくないことです。もしも自分が「PMSかも」と思ったなら、PMSリストできちんとチェックし、自分のタイプなどを把握しておきましょう。日頃からストレスをためないようにする工夫も大切です。
そしてPMSの症状でつらいと感じる場合や日常生活に支障をきたす場合は、放置せずに、早めに病院を受診しましょう。
参考資料:
・日本産科婦人科学会
・厚生労働省ヘルスケアラボ
(斉藤カオリ)
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