「美人薄命」の本来の意味とは? 国を滅ぼすレベルの美女「楊貴妃」の生涯【夫婦・子育ていまむかし Vol.30】
Woman.excite / 2025年1月11日 21時0分
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ウーマンエキサイトをご覧の皆さん、こんにちは、tomekkoです。
文豪クズ列伝から歴史上の人物を深掘りしていく形となったこの連載ですが、だんだん日本を飛び出し世界史まで手を伸ばしはじめております。
実は世界史はぜんっぜんわからない私、名前くらいしか…というまっさらな状態から調べ、考察を深めていくのが苦しくも楽しい時間でした!
2025年もさまざまな歴史上の人物について、意外なエピソードや興味深い史実を交えながら、その人物像をお伝えしていきたいと思います。
さて、2025年第一弾は、前回の武則天から火がついた中国史への好奇心に乗っかって、絶世の美女として名高い楊貴妃です!
国を滅ぼすレベルの美貌!
「傾国の美女」とは
武則天が中国史上で「悪女」とされるなら、楊貴妃は「傾国の美女」として有名ですね。傾国の美女とは、その美しさがあまりにも際立ちすぎて、国や王朝を滅ぼしてしまうほどの影響力を持った女性を指す言葉です。ちなみに楊貴妃は世界三大美女としても名前があがりますが、楊貴妃と並ぶのはクレオパトラと小野小町。個人的に…小野小町は正直ちょい弱くない?と思ってます笑。
傾国…つまり君主がデレデレに色ボケしちゃって政治がおろそかになったり、無駄遣いが増えて文字通り国を傾かせるほどってもうよっぽどの手練手管があったんじゃない?! めっちゃやり手なんでしょうね?!
と想像して色々と調べてみたものの、楊貴妃と玄宗皇帝をめぐるラブロマンスやらこの時期に起きた大きな反乱の話は詳しく出てくるのに、「楊貴妃本人が何をしたのか」についてはあまりよくわからないんですよねぇ。
唐という300年も続いた文明豊かで平和な時代を崩壊させるきっかけを作ったはずなのに、楊貴妃自身を責めたり悪様に罵るエピソードがほとんど出てこないのもなんだか不思議。国家君主とその寵姫といういかにも政治的な関係性なのに、後宮ドラマでよく聞くようなドロドロな女の争いも見えず、ひたすらふたりのキャッキャウフフエピソードが後世まで語り継がれているなんて…歴史上見渡しても他にこんな人います?
馴れ初めは
父親と息子のNTR
玄宗皇帝と楊貴妃、歳の差なんと34歳!!この年齢差でお察しの方もいると思いますが…そう、前回の武則天と同じ手口(古代中国ではよくある手法だった)父子間での嫁NTRですー!
長く続く時代の世襲君主ってだいたい無能になっていくことが多いんですが、玄宗は違いました。政治家としても超有能で政治闘争も勝ち抜き国民からも名君として慕われていました。そんな彼には妃も子どもも多く、後宮の争いも凄まじかったようです。
その中でも特に寵を争った4人の妃を次々と喪って、気落ちしていた玄宗の前に現れたのは!皇太子最有力候補だった息子の妃としての楊貴妃だったのです。
中流庶民出身だけど絶世の美女であった彼女に一目惚れしてしまった玄宗、彼女を一時的に出家させ経歴を誤魔化しながら内縁関係を続け、5年後に正式に玄宗後宮に迎えました。武則天は死の間際の父親の嫁に息子が唾つけといたって感じだけど、こっちは歳も近くてお似合いの息子から奪い取る形なのでより罪は重く見えちゃいますねぇ。まぁ現代の感覚だとどちらも凄い話ですが。
楊貴妃の魅力は
美貌だけじゃない!
能力が高く数々の修羅場をくぐり抜け、酸いも甘いも噛み分けた60歳。それも後宮に数千人もの女性が控えている選びたい放題の皇帝が一目惚れして、息子から取り上げるほどの楊貴妃の美貌と魅力って…どんだけなの?!
記録によると、楊貴妃の容姿は唐代の理想とされる豊かな曲線美スタイル、髪は艶やかで肌のきめ細やかさは見事、物腰は柔らかく…。
と、そりゃ美しかったんだろうけども、伝えられている表現からはそこまで見た人を虜にするようなとんでもない魔性の魅力は見えてこないんですよね。
そうです! 彼女の魅力は容姿だけではなかったんです。作曲をするほど音楽好きでもあった玄宗皇帝と趣味の合う舞踊の才能、琴や琵琶といった楽器にも精通している教養の高さ。そして、おそらく楊貴妃の最大の魅力はこれなんじゃないかなー。周りの人を楽しませる利発さ、おだてに乗らない堅実さ、そして余計なことを言わない賢さ(後半は想像込みですが)
というのも、楊貴妃が玄宗に気に入られると親族である楊一族が取り立てられ権勢を振い始めます。その中には3人の姉もいて、毎月10万銭もの化粧代を支給してもらったり、政治や科挙の運営にも口を出すなど傍若無人な振る舞いが目立っていくのです。
特に玄宗に取り入って出世したのが楊国忠という親族で、酒と博打が大好き。でも計算が得意で経理系からの大出世の末、国家財政を担う宰相にまで成り上がるのです。
こうして楊一族が政治でも私生活でもやりたい放題、贅沢放題するようになったことで人々からの嫉妬や反感を買い、その後の反乱に発展したんですよね…まぁ当たり前だけど。
でも、そのど真ん中にいるはずの楊貴妃はというと?
有名なところでは、日持ちしない大好物のライチを遠い産地から早馬で運ばせていた…。
黄色の裙という長い裳を好んでお気に入りの龍脳の香りをつけていたので、歩けばその香りが遠くまで漂った…。
玄宗皇帝と2人で宴会をしたり、温泉付きの別荘に入り浸ったりと、もちろん一般人からするとかなり贅沢な生活だったでしょうが、そこまで常軌を逸しているほどではなさそうです。
ふたりで色ボケを続けた結果…
悲劇的な最期を迎えることに
楊貴妃が明確に行なった政治介入は、玄宗に気に入られたオリエンタルな武将、安録山を養子にしたことぐらいでしょうか。これが皮肉にも、自身の首を絞める原因となりました。
イラン系×トルコ系の血を引く豪放な性格で9ヶ国語を操るビジネスと政治センスに溢れる武闘派、安録山。パフォーマンスも派手でそりゃあこんな人面白いに決まってる。玄宗も楊貴妃も成り上がってきたこの男を大いに気に入り、節度士という国境を守る地位を与え、結果的に莫大な軍事力を持たせることになってしまいます。
そして子のいない楊貴妃が、彼を養子に迎え、なんと…いい歳したおじさんにおむつをはかせてお風呂に入れる遊びもしたとか……え?…えぇ? これは有名な逸話の一つですが、事実じゃなく後世で誇張された創作話の可能性も。想像すると気持ち悪いですもんね…。
安録山は通常都を遠く離れた辺境の地で任務についているため、皇帝のすぐそばに侍る楊国忠が自分を失脚させようと諫言をしたりしていないかと疑心暗鬼になっていきます。そして軍事力を掌握していくことで楊一族に並ぶ勢力となり、安史の乱を引き起こすのです。
国の8割の武力は安録山が掌握していたため、平和ボケしていた唐軍は都を守れずあっという間に陥落。玄宗と楊貴妃は都を捨てて楊貴妃の出身地、蜀に逃げることになりました。
しかし玄宗と楊貴妃についていた唐軍兵士たちが、過酷な逃亡の過程で疲弊し空腹で不満が爆発。この騒動の原因を作った楊国忠とその一族を皆殺しにしろ!と集団ヒステリー状態になってしまうのです。
そして…玄宗も楊貴妃とその家族を守ることができなくなり、楊貴妃は玄宗によって自ら命を絶つよう命じられます。楊貴妃は玄宗に非常に愛されていたにもかかわらず、このような悲劇的な最期を迎えるのです…。
そしてこの騒動の後は、安録山も死亡。乱はひとまず収束したものの、一気に唐王朝はガタガタと崩れ落ちていくのでした。
楊貴妃にみる
「美人薄命」の真実とは
時は過ぎ、50年後に白居易によって玄宗皇帝と楊貴妃の美しくも儚いラブロマンスを讃え、ふたりを偲ぶ『長恨歌』が紡がれます。
評価が高く、日本にも渡り源氏物語でもしばしば引用される長恨歌ですが、その魅力は権力者とその寵姫という立場を超えて、純粋な人間ふたりの対等な純愛を描いたものだからだと言われています。
でも死後50年、ほとんど当時のことを知る人はいないんですよね。
だから、ちょっと二次創作に近いというかほぼフィクション
…だとしても!
国を揺るがすキッカケになり、その責めを負って死ぬことになった人なのに、そこまで悪い話が記録されていないのは(「悲劇的な美人」として美化されたこともあると思いますが)、本人の人となりによるところが大きいのではないでしょうか。
自らの力で成り上がり権力を握った武則天とは違い、楊貴妃はどこまでも『ただそこにいて愛された人』でしかないんです。勝手に暴走した身内のハンドリングができなかったことは責められません…よね?
強大な権力者の最愛の人となれば周囲に取り入りたい人が群がってきて、ヨイショはすごいし甘い誘惑も止まなかったことでしょう。このくらいの贅沢、わがまま、いいんじゃない?皇帝ゾッコンだし? とエスカレートしてしまう人も多いと思うのに、楊貴妃が直接誰かに横暴な行動を取ったり、積極的に権力を追い求めたりする記述はほとんどないのです。
調べる前は、絶大な美女が皇帝を骨抜きにして贅沢し放題した結果、国が傾いたのかと思っていたのですが、そうではなかったようです。楊貴妃の美しさと人間性が玄宗を虜にし、ふたりで深い愛を育んでいただけ…。
とはいえ、楊貴妃が玄宗との愛を大切にして、聡明な振る舞いをしていたとしても、時の権力者に寵愛されるという影響は大きく、周囲に波紋を広げ、自身も悲劇的な最後を迎えたのは事実。楊貴妃の生涯は「権力者に愛されすぎた悲劇」の象徴なんですね…。
そしてもう一つ今回の学び!
『美人薄命』って「天から美貌を授かった代わりに、病弱で早死にしたりすることが多い」みたいな意味だと思っていたんですが!
本来の意味は「美人はその美しさゆえに争いの種となって、トラブルや不幸に巻き込まれやすくなる」ということのようです! 本人に悪気がなくても存在するだけで周囲に影響を与えてしまう…やっぱり「美しすぎるって罪」なのねぇ…。
(tomekko)
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