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「時代が求めるように会社の形を変えていく」御手洗冨士夫・キヤノン会長兼社長CEO 

財界オンライン / 2021年12月8日 18時0分

御手洗冨士夫・キヤノン会長兼社長CEO

キヤノンの創業から30年経った1967年。同社社長(当時)の御手洗毅氏は『右手にカメラ、左手に事務機』をスローガンに、事業の多角化を推進していった。商業・産業印刷やネットワークカメラ、医療機器、産業機器など、既存事業に加え、新たな事業を育成する今、「時代に合わせて会社を発展させていくと宣言した御手洗毅の考えが染みついている」と語る御手洗氏。同社の今後の舵取りは――。

キヤノンは人間主義を設立当初から貫いている

 ―― 時代の変化のスピードがどんどん上がっています。キヤノンの変化対応哲学を教えてください。

 御手洗 時代は常に変化していきますから、その時代が求めるように会社の形を変えていかなくてはなりません。

 当社は1937年に精機光学工業株式会社として創業し、30年間はカメラの専業メーカーとして成長してきました。ところが、創業30年を過ぎた1960年代後半になると、日本は高度経済成長時代に入りました。カメラメーカーも林立し、過剰生産から飽和状態になっていました。そのため、カメラ事業だけでは成長を望めないことから電卓を手掛けたわけです。

 この時、御手洗毅社長(当時)は『右手にカメラ、左手に事務機』をスローガンに事業の多角化を推進させ、時代に合わせて会社を発展させていくと宣言したわけです。

 ―― キヤノンが時代の変化を捉えて、ビジネスモデルを転換してきたのは、こうした背景があったのですね。

 御手洗 その通りです。やはり会社のポリシーや基本的な思想というものは非常に大切です。当社が発展してきた背景の一つには多角化を進めてきた歴史があります。

【キヤノンマーケティングジャパン】 足立 正親・新社長が語る『SDGs』経営



 ―― やはり、創業時の思想というのは大事なんですね。

 御手洗 もちろんです。その企業が持つ経営思想というのは非常に大切だと思います。

 御手洗毅は九州の出身ですから、西郷隆盛の『敬天愛人』という言葉が大好きでした。そういう信念を持っていたこともあり、当社のポリシーは大変ユニークです。当社の指針には「実力主義」、「新家族主義」、「健康第一主義」などというものがありますがこういった言葉はあまり他社にはないと思います。

 また、行動規範にあるのは三自の精神「自発・自治・自覚」。これは、何事も自ら進んで積極的に行い(自発)、自分自身を管理し(自治)、自分が置かれている立場・役割・状況をよく認識する(自覚)ということです。そういう姿勢で前向きに仕事に取り組むことが大切です。

 こうした人間主義を設立当初から貫いている会社はあまり多くはないのではないでしょうか。当社のこうしたポリシーは御手洗毅の人生観から来ているのだと思います。

 ―― こうした原点を忘れない企業は強いですね。

 御手洗 そう思います。当社は創立から今まで、様々な問題を労使の話し合いで解決してきました。その結果、社員のリストラやストライキは一度もありません。

 こういう伝統があるのも、「三自の精神」という考えが浸透しているからです。わたしはこれからも、こうした伝統を守り抜き、雇用を大事にする経営を継続していたいと考えています。

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