ボーイングが生産拡大停止 遠のくエアバスの背中
財界オンライン / 2024年3月5日 7時0分
航空機大手ボーイングが生産した機体で起きた、扉が吹き飛んだ事故が波紋を広げている。米連邦航空局(FAA)は安全性を考慮し、ボーイングに「737MAX機」の生産拡大を一時停止するよう命じた。新型コロナ禍の影響を引きずって混乱が続く航空機サプライチェーンへの悪影響は避けられそうにない。
楽天が5期連続最終赤字 財務面での懸念は根強く
今年1月5日に発生した事故を踏まえ、FAAはMAX9型機約170機の運航停止を命じ、緊急点検を要請した。アラスカ航空やユナイテッド航空では多数の便が欠航となり、乗客の間で混乱が拡大。点検の結果、両社ではボルトの緩みなどの不具合が複数見つかった。日本の航空会社は同機を保有していない。
ボーイングを巡っては、18〜19年にエチオピア航空などで墜落事故が相次ぎ、安全性に関する信頼が大きく揺らいでいる。ボーイングの23年12月期は5期連続の最終赤字に陥り、巨額の利益を確保するライバルの仏エアバスに収益面で大きく水を開けられている。
今回の事故に伴い737MAX機の生産拡大停止を余儀なくされたことで、仮に航空各社の「ボーイング離れ」が進めば収益力のさらなる低下は避けられそうにない。
業界では新型コロナ禍における航空需要の低迷を受け、大型機を売却。整備部門などの人員削減に踏み切った。しかし、新型コロナが収束し、世界各地の観光地が大勢の来訪客で賑わう中、航空機の買い戻しは容易でないため座席の供給制約が続いたまま。今回の事故でサプライチェーンの正常化がさらに遠のくことが避けられない。
日本の航空会社は事故機を保有していないが、ユナイテッドは運行停止となった影響で24年1〜3月期は赤字に陥るとの見通しも公表した。今後の運航計画の見直しも検討するという。長らく消滅していた航空需要が復活の狼煙を挙げた航空業界全体にもボーイングは水を差している。
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