保険適用マッサージ:フレアスの事業環境が急変した
財経新聞 / 2024年4月26日 15時40分
フレアス(7062、東証グロース)。保険適用の訪問マッサージを軸に、訪問看護・訪問介護事業を展開。在宅看護としホスピス事業にも着手。
保険でマッサージが、と耳にしただけで親近感を覚える。同じ思いゆえに・・・ではあるまいが、期待されて上場してきたことは間違いない。
2019年3月28日の公開初値は4045円。公開公募価格を2195円上回って生まれた。がフレアスは、この上ない逆風下で上場した。初決算となった2021年3月期は、1600万円の営業赤字。コロナ禍という状況下で、主業の訪問マッサージはこの上なく利を生み出しづらい。
22年3月期は「1億8400万円の営業黒字」と切り返したが、環境は依然薄氷状態。前23年3月期も新型コロナ感染7波・8波の影響で「92%営業減益」に逆戻り。創業者社長:澤登拓氏の切歯扼腕もいかばかりだったか・・・
過去に「保険適用訪問マッサージ」を前面に上場を果たした企業は、私が知る限りない。
大学在学中に中国の北京医薬大に遊学した澤登氏は、漢方医療を出会った。よほど惹かれるものがあったのだろう。東洋医療学園専門学校に身を置いた。そこでマッサージ・鍼灸治療を学び帰国。フレアスを興している。
相応の実績を残したゆえの上場だったはず・・・
がいまようやく、風向きに変化が起こっている。
今24年3月期計画は、「29.1%増収(58億7200万円)、11.7倍営業増益(1億6400万円)、2.84倍最終増益(1億2000万円)」。開示済みの第3四半期までの実績はそれぞれ「42億1500万円、8000万円、5000万円」。フレアスでは主軸のマッサージ直営事業を既に第2四半期時点で、こう総括している。
「新型コロナウィルスの感染法上の分類が第5類に引き下げられたことで、閉鎖していた介護施設への施術の再開が進んだ。サービス休止中に筋麻痺や関節拘縮が進んでしまった利用者に対し、高頻度なサービス提供の提案/回数の増加。結果、前年同期比9.2%の増収、43.5%増の営業増益となった」
ちなみにフレアスでは「直営」+「FC」でマッサージ事業を展開している。FC事業でも「TV番組に紹介された効果もあり」、加盟店数が21件増え306拠点となった。ロイヤリティ収入が37.7%増、営業利益も31.5%増となった。
一番気になるのは、保険診療はどういう枠組みで可能になるのか。担当医の「介助なくしての通院は困難」という判断が大前提。医師の同意で1-3割の施術が受けられる。身体幹・右腕肘・左腕肘・右下肢・左下肢の5部位の診療が対象で、概ね1部位の料金は約350円。在宅マッサージの拠点は直営・FC計で390。
本稿作成中の時価は900円台半ば。昨年来高値から200円弱下値。ここからの株価は、収益動向が決めてくれるだろう・・・
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