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SNSが災害時の情報インフラとして使えない理由 偽情報すら収益化する姿勢で被災地の活動に悪影響

東洋経済オンライン / 2024年4月11日 19時30分

災害時に携帯電話やインターネットが利用できるように通信インフラの強化も進められた。東日本大震災では沿岸部を中心に、携帯電話基地局の流出や水没、ケーブル切断により通信インフラが大きな被害を受けた。そこで、通信事業者により基地局のバッテリー強化、基地局車や電源車の配備が進められた。

これらの対策が功を奏し、2016年の熊本地震では通信インフラの被害が最小限に抑えられ、被災地からの情報発信を支えたと評価が高まった。しかし、今回の能登半島地震ではソーシャルメディアが情報インフラであるとの認識を捨てざるを得ない状況がはっきりした。

メディアは報じ方を変えよ

地震や台風などの災害時にはソーシャルメディアの投稿がテレビで使われる光景は当たり前となっているが、能登半島地震では状況が違った。発災直後の現地映像は少なく、取材が被災地に入るとようやくスマートフォンで撮影した映像により津波被害が明らかになっていった。その理由は発信を支える通信インフラの甚大な被害と、高齢者が多いという地域特性にある。

インターネットが利用できず、ソーシャルメディアに投稿される被災地の情報は乏しくなる。そこを埋めたのは「インプ稼ぎ」による不確実性の高い投稿だ。インプ(インプレッション)稼ぎとは収益を得ることを目的にXの投稿に閲覧や反応を得る行為で、能登半島地震では東日本大震災の津波動画が投稿されたり、偽の救助要請が投稿されたりした。

NHKはアジアや中東地域からインプ稼ぎが広がっていると報じている(*1)。インプ稼ぎは1月2日の日航機と海上保安庁機の羽田空港衝突事故でも起きており、人々の注目が集まる話題やニュースがあれば不確実性が高い投稿が溢れる状況に陥っている。

*1 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240202/k10014341931000.html

偽の救助要請は大きな問題だ。筆者は、熊本地震、西日本豪雨でツイッターを対象に救助要請ツイートの研究を行っているが、これまでは番地などが具体的に書かれている場合は実際に救助を求めているケースが多かった。

能登半島地震では「石川県川永市」という実在しない地名の救助要請で詳細な住所を記載されていた。図はX上で大量に存在する同じ住所を投稿する別々のアカウントの一部をキャプチャしたものだ。このようなコピー投稿は実際の救助要請でも行われており、オリジナル投稿かどうかを見きわめることが困難になっている。

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