米利下げ「今年のある時点」、FRB議長証言 指標次第と強調
ロイター / 2024年3月7日 8時36分
3月6日、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、下院金融サービス委員会の公聴会で、利下げ開始時期とそのペースは経済データのみに基づいて決定されると述べた。1月31日撮影(2024年 ロイター/Evelyn Hockstein/File Photo)
Howard Schneider
[ワシントン 6日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は6日、下院金融サービス委員会の公聴会で、利下げ開始時期とそのペースは経済データのみに基づいて決定されると述べた。
同委員会のパトリック・マクヘンリー委員長は公聴会の冒頭で「われわれは政治の年に入っている」と指摘。FRBの利下げ計画について質問した上で、FRBが行うことは全て11月の大統領選でのバイデン大統領とトランプ前大統領の再戦という「レンズ」を通して見られることになるとした。
パウエル議長は「米経済がリセッション(景気後退)に陥っている、または何らかの短期的なリセッション陥るリスクがあると考える根拠はない」と指摘。インフレ率が目標の2%に向けて低下し続ける中でも、経済が成長し、失業率が低水準にとどまるという、いわゆる経済のソフトランディング(軟着陸)の実現に向け「良好な道筋」をたどっていると述べた。
大統領選を年内に控えていることについては「われわれはただ慎重に仕事をし、国民が期待しているものを提供するよう努める」とした。
パウエル議長は、利下げは「本当に経済の行方次第だ。われわれが焦点を当てているのは最大雇用と価格の安定、そして見通しに影響を与える今後のデータだ」とし、FRBは利下げ前に「インフレ率が2%まで持続的に低下していることを確認し、かつその確信を高めるさらなるデータを見ることを望んでいる」と述べた。
証言では「経済が予想通り大幅に進展すれば、今年のある時点で政策抑制の縮小を開始するのが適切な可能性が高い」と指摘。「しかし、経済見通しは不透明で、2%のインフレ目標に向けた継続的な進展は保証されていない」とし、利下げが早すぎてインフレが再加速するリスクと、金融引き締めが長すぎて現在の景気拡大にダメージを与えるリスクの両方に言及した。
また、インフレ率は2022年に40年ぶりの高水準を記録して以来「大幅に緩和」しているが、政策当局者らは利下げを実施する前にインフレ率の継続的な低下について「より大きな確信を得る」を得る必要が依然としてあるとし、具体的な利下げ開始時期に関しては言及を控えた。
投資家は現在、6月に最初の利下げが行われると予想。FRB当局者は昨年12月時点で、0.25%の利下げが年内に3回行われると見込んでいた。
パウエル議長は5.25─5.5%で維持されているフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標については「おそらくピークに達している」と繰り返し、追加利上げが選択肢に入っていないことを示唆した。
「インフレ率が低下し、経済が成長し続けると見込んでいる」と指摘。「そうであれば金利は今後数年間で大幅に低下するのが適切だろう」と語った。
ネーションワイドのシニアエコノミスト、オーレン・クラッキン氏は「追加引き締めのハードルは比較的高い。インフレと雇用を中心に、予想を上回る指標が相次いだ場合のみFRB当局者は引き締めの必要性を認めるだろう」と話した。
ラーデンバーグ・サルマン・アセット・マネジメントのフィル・ブランカト最高経営責任者(CEO)は「米経済全体の健全性について非常に慎重な発言をした。インフレの観点から見れば、われわれはまだそこには至っていない」と指摘。「パウエル氏の発言はFRBはまだ利下げする準備ができていないというシナリオを改めて支持する内容であり、これは最初の利下げは早期ではなく今秋に行われる可能性が高いことを意味する」と述べた。
パウエル議長は7日に上院銀行委員会での公聴会が予定されている。
*システムの都合で再送します。
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