世界的なインフレ、適切な金融政策対応は国ごと異なる=日銀総裁
ロイター / 2022年5月25日 20時47分
日銀の黒田東彦総裁は25日、日銀・金融研究所の国際コンファレンスで開会の挨拶を行い、世界的なインフレ圧力に各国の中央銀行が直面しているものの、日本では総需要の回復ペースが欧米に比べて緩やかになっていることなどを挙げ、適切な金融政策上の対応も国ごとに異なりうると語った。資料写真、都内で2020年1月撮影(2022年 ロイター/Kim Kyung-Hoon )
[東京 25日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は25日、日銀・金融研究所の国際コンファレンスで開会の挨拶を行い、世界的なインフレ圧力に各国の中央銀行が直面しているものの、日本では総需要の回復ペースが欧米に比べて緩やかになっていることなどを挙げ、適切な金融政策上の対応も国ごとに異なりうると語った。
日本が欧米と異なる点として、日本では賃金の上昇幅が「穏やかな水準」にとどまっていることや、日本が資源輸入国であるため、資源高が経済の下押し要因になると指摘した。「最近の供給要因による資源価格高騰は、資源輸入国にとっては家計の実質所得の減少や企業収益の悪化を通じた実体経済の下押しの影響が大きくなる」と述べた。
インフレ圧力の大きさや持続力を見極めるには「財・サービス価格、賃金、資源価格の関係をどう捉えるかが1つのポイントになる」と話した。
黒田総裁は中央銀行が直面している課題として、ロシアのウクライナ侵攻に伴う地政学リスクの高まりにも言及した。「地政学リスクに関する不確実性はきわめて高い」と指摘。「貿易の縮小やコンフィデンスの悪化を通じて、先行きの世界経済を下押しする可能性がある」と述べた。
また、新型コロナウイルス感染症の影響長期化に伴い、経済の構造変化が一段と加速しているとの見解を示した。潜在成長率、自然利子率、フィリップス曲線の形状の変化などを通じ「金融政策の効果や望ましい政策対応に変化をもたらす可能性がある」とし、「中央銀行は、変容していく経済構造とそれが物価と実体経済に与える影響に注意を払う必要がある」と述べた。
国際コンファレンスはきょう25日から27日まで行われ、海外の中央銀行の政策当局者や学者らが参加する。
(和田崇彦)
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