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アングル:中国企業の資本調達環境が悪化、国内外でIPO審査厳格に

ロイター / 2024年3月29日 17時30分

3月28日、中国企業の資本調達環境の見通しが悪化している。写真は上海で2022年10月撮影(2024年 ロイター/Aly Song)

Samuel Shen Kane Wu

[上海/香港 28日 ロイター] - 中国企業の資本調達環境の見通しが悪化している。国内で新規株式公開(IPO)の審査が厳格化されたほか、海外上場も地政学的な緊張などで大きな制約を受けているためだ。中国経済の回復を阻害する要因にもなりかねない。

中国証券監督管理委員会(証監会)は今月、投資家の信頼回復に向け、株式上場・公開企業・引受会社の監督強化に向けた一連の規則を発表。企業の過剰な資金調達を防ぐためIPOの審査を厳格化し、証券詐欺や会計操作を厳しく取り締まる方針を示した。

これを受け、一部の企業は香港やニューヨークなど海外市場に目を向けているが、米国では地政学的な緊張を背景に中国企業への視線が厳しさを増している。香港市場も株価が低迷しており、アリババ・グループは今週、物流部門の香港上場計画を取りやめたことを明らかにした。

LSEGの暫定データによると、1─3月の中国のIPO調達額は24億ドルと、2018年第4・四半期以来の低水準。前年同期比で82%減少した。

ニュー・アクセス・キャピタル(上海)のアンドリュー・チエン最高経営責任者(CEO)は、IPO審査の厳格化で中小企業の資本調達やプライベートエクイティ(PE)のエグジット(資本回収)が難しくなると指摘。PEの資本回収が難しくなれば「アーリーステージのハイテク企業への投資も困難になる」との見方を示した。

こうしたハイテク企業は、中国の経済成長と雇用拡大の鍵を握っているが、資金を調達できなければ、事業拡大の抑制とコスト削減を迫られる。

ある金融アドバイザーは「景気が減速している局面では、資本市場を活用して、できる限り迅速に企業の問題解決を支援すべきだ」と指摘するが、今年に入り上海・深セン証券取引所が受理したIPO申請は1件もない。

<監視強化>

政府の監視強化や流動性の低下を受けて、国内上場を巡る不透明感は高まっており、今年に入り80社以上が国内上場計画を取りやめた。

ある金融関係者は「いったんIPOを申請すれば、規制当局が資料を精査するため、詐欺や過失で処罰されるリスクが高まる」とし、一部の企業に海外上場を勧めていることを明らかにした。

証監会のデータによると、今年これまでに海外上場を申請した中国企業は38社。うち5社は米国上場、残りは香港上場を指している。

今月、証監会の認可を得た上海聲通信息科技の湯敬華会長は「香港株式市場の方が確実性が高い。非常に明確なルールがある」と指摘。

同じく香港上場を目指す江蘇国府水素エネルギー設備は20日の提出書類で「全体的な審査プロセスの不確実性」を考慮し上海上場計画を中止したことを明らかにした。

ただ、米中関係の緊張や香港株式市場の低迷で、海外上場も容易ではない。

国内PEのある幹部は「中国の新興企業は今後数年、国内IPOのチャンスに恵まれないだろう」と指摘。また「香港市場は相対的に小規模で流動性が低い。米国上場も地政学的な理由で主流にはならないとみられる。米大統領選も不透明要因の1つだ」と述べた。

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