ECB利上げ、当局者の見解分かれる インフレ率再び過去最高
ロイター / 2022年6月1日 2時22分
ユーロ圏のインフレ率が過去最高を再び更新する中、31日は一部の欧州中央銀行(ECB)当局者が積極利上げの必要性を提唱する一方、債務水準が高いイタリアとスペインの中銀総裁が慎重姿勢を示すなど、見解が分かれた。2021年12月撮影(2022年 ロイター/Wolfgang Rattay)
[フランクフルト 31日 ロイター] - ユーロ圏のインフレ率が過去最高を再び更新する中、31日は一部の欧州中央銀行(ECB)当局者が積極利上げの必要性を提唱する一方、債務水準が高いイタリアとスペインの中銀総裁が慎重姿勢を示すなど、見解が分かれた。
欧州連合(EU)統計局が発表した5月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は前年同月比8.1%上昇し、再び過去最高を更新。上昇率は4月の7.4%から拡大し、エコノミスト予想の7.7%も上回った。
こうした中、カジミール・スロバキア中銀総裁はロイターのインタビューで「利上げの第一歩を踏み出す必要があると考えている」とし、利上げ幅は「7月に25ベーシスポイント(bp)、9月に50bpになる可能性がある」と語った。
今月に入ってからは、クノット・オランダ中銀総裁がECBは7月に25bpの利上げを実施すべきだが、大幅利上げの可能性も現時点で排除すべきではないとし、「その場合、論理的な次のステップは50bpとなるだろう」と発言。カザークス・ラトビア中銀総裁も50bpの利上げを検討する必要があるとの考えを示していた。
一方、この日はイタリアとスペインの中銀総裁が慎重な見方を表明。ビスコ・イタリア中銀総裁は、ECBはこの夏に開始する可能性がある利上げを緩やかに進めるべきとの見解を示したほか、デコス・スペイン中銀総裁は、ECBは景気刺激策を段階的に撤回する方針を堅持し、7月と9月に利上げを実施する必要があるとしながらも、経済と地政学上の不確実性を踏まえ、特定の金利の道筋に事前にコミットするべきではないとの見解を示した。
コメルツバンクのエコノミスト、クリストフ・ワイル氏は「ユーロ圏のインフレ問題は悪化している」とし、「5月のユーロ圏消費者物価指数を受け、超低金利政策終了に向けた圧力が高まっている」と述べた。
ECBは6月9日に理事会を開く。
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