増える“風呂キャンセル界隈”&湯船でのスマホで体が冷える?効率的な入浴法を医師に聞いた【今ドキお風呂事情】
CBCテレビ / 2025年1月11日 6時32分
去年から、SNSでも話題の“風呂キャンセル界隈”という言葉をご存じですか?理由は様々ですが、若者を中心に「湯船」はおろか、「シャワー」も浴びないというという人が増えているんです。
給湯機器などを販売するリンナイ(本社:名古屋市)が行った意識調査でも、3割の人が「その日のうちに風呂に入らずに寝ること」が「よくある(8%)」「たまにある(22%)」という結果に。中でも、男性が34%、女性が27%と男女でも差があるようです。
また、20代を中心に浴室内にスマホを持ち込んでいる人が多いという実態が。冬の入浴は冷え性の予防にもつながりますが、この“お風呂でスマホを触る”という行為が、逆に冷え性につながっている可能性も。
冬のお風呂は少し面倒くさいけど…冷え性だし…効率よく温まりたい!というわがままな悩みを改善すべく、リンナイとお風呂を医学的に研究している医師に聞いてみました。
そもそも“冷え性”の人ってどのくらい…?
リンナイは、全国47都道府県の2350人に入浴に関するアンケート調査を実施。その結果、「自身を冷え性だと思いますか?」という問いに対しては、これまでの傾向と異なる結果が得られたといいます。
「とてもそう思う」「ややそう思う」と答えた人は20代女性が68%、20代男性が41%と、一般的に筋肉量の少ない女性に多い冷え性が、若い男性の悩みにもなっているのです。
一般的に、手足から熱を出して体温を下げることで眠ることができますが、冷え性の場合、手足の血流が低下して冷えるため、熱を出すことができず、寝つきの悪さにつながります。
このことは、アンケート調査でも明らかで「冷えによってつらいと感じる症状は?」という問いの答えで一番多かったのが「眠れない(43%)」という結果になっています。
では、この冷え性を改善するためには、どういった対策が効果的なのか?このリンナイが行った調査を監修した東京都市大学人間科学部教授で、医師の早坂信哉先生によると、“冷え”に一番オススメなのは、やはり入浴だといいます。
医師が勧める!“冷え対策”に効果的な入浴法3選
■湯船の温度は何℃がいい?時間は?
早坂先生によると、湯船に浸かる時間の目安は、10分間。温度は少しぬるく感じるかもしれませんが、40℃くらいがオススメとのこと。体温が0.5~1℃上がる程度が、お風呂を上がった後も体をあたたかく保てるようです。
また、長時間のお風呂に入るとのぼせることがありますが、この「のぼせ」というのは、熱中症と同じ症状です。脱水で、血圧も下がるため、湯船に浸かる時間は15分までにとどめましょう。お風呂に入る前は、水分補給も忘れずに。
■「湯船に3分間→冷えが気になる部分にシャワー」×「2、3回」
その他にも、体の冷えが気になる部分の“温冷交代浴”が効果的とのこと。まずは40℃のお風呂に3分間入った後、手先や足先などの冷える部分に30℃程度のシャワーを1分ほどあてます。その後また湯船に浸かるというのを2~3回繰り返すといいということです。
早坂先生によると、あたたかい湯船に入ると血管が拡張し、少し冷たいと感じる温度のシャワーを浴びると血管が収縮。血管がポンプのように伸び縮みすることで、血流の流れが改善するということです。
■入浴剤を入れるなら「炭酸系」のものを
炭酸ガスは皮膚から吸収されて血管を拡張させるため、血流の流れをよくします。これが冷え性の改善につながるといいます。
2種類あるヒートショック「山型」「谷型」
しかし、冬のお風呂には危険も潜んでいます。この時季になるとよく耳にする「ヒートショック」という言葉。高齢者の話だろうと、どこか他人事の人もいるかもしれませんが、実は若者も注意が必要なんです。
「ヒートショック」とは、暖かい場所から寒い場所に行った時など、気温の変化で血圧が乱高下することによって、心筋梗塞や不整脈などを引き起こすこと。
暖房の効いた部屋から寒い脱衣所や浴室に行くと、血管が収縮して血圧が上がります。その後、熱い湯船に浸かると、さらに血管が収縮して血圧が上昇。その後、体が湯の温度に慣れて温まってくると、血管が広がって血圧が下がります。これが、“山型ヒートショック”と言われています。
また、湯船から立ち上がる時に、立ちくらみの経験がある人も多いと思いますが、これは、体が温まることで血管が膨張。血圧が低下している時に、湯船から出ることで水圧の締め付けがなくなり、さらに血圧が下がる“谷型ヒートショック”が起きているからなんだそう。
この谷型ヒートショックは、「サウナ」で立ち上がる時にも起きる可能性があるとのこと。筆者もサウナが大好きですが、サウナ室から出るときは、ゆっくりと立ち上がるなどして血圧の急降下を防ぎましょう。
“冷え性対策”のNG行為 スマホ使用の長風呂は冷え性に…?
最後に、お風呂でのNG行為をご紹介。
リンナイのアンケート調査の結果、“お風呂でスマホを触る”人は、全体の13%で、年代別の内訳は、20代が24%、30代が15%、40代が14%、50代が9%と若い世代ほどスマホを持ち込んでいるようです。
また、スマホを使用する人は動画やSNSに夢中になるためか、平均入浴時間が「25分」という結果に。スマホを使用しない人は「13.8分」で、明らかに入浴時間が長いことがわかります。
早坂先生は、長時間の入浴は、のぼせ(熱中症)になるおそれもあるうえ、血圧が下がるため、“谷型ヒートショック”になりやすいといいます。冷え性改善のためと思って、高温の湯船に長時間つかったとしても一時的に体温は上がるものの、入浴後に汗をたくさんかいて急速に体温が下がるため、あたたかさは長続きしないとのこと。入浴時間は15分程度にとどめておきましょう。
“冷え性対策”のNG行為 靴下履いて寝るのは逆効果
また、「靴下を履いて寝る」のもNGです。先述したように人は足から体温を放散して、眠りにつくため、靴下を履いていると、熱をとどめることになりかねないのです。布団に入る前に脱いで就寝しましょう。
お風呂やサウナに入って、汗をかくと「老廃物が出ている」と思っている人もいるかも知れませんが…早坂先生によると、汗には老廃物などは含まれていないそう。そのためいくら汗をかいても直接的な老廃物の排出にはつながりませんが、汗をかくほど体温が上がったということは、血流がよくなったということでもあります。
寒い日のお風呂は、少し億劫になってしまいますが、正しい入浴方法で効率よくあたたまりましょう。
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