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少し高い血圧でも脳・心血管疾患のリスクは2倍に

Digital PR Platform / 2024年4月11日 10時0分

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―就労世代8万人の大規模調査から報告―



 横浜市立大学 医学部公衆衛生学・大学院データサイエンス研究科の桑原恵介准教授らの研究グループは、関東・東海地方に本社のある企業等10数社による多施設共同研究(J-ECOHスタディ)*1に参加した高血圧の治療中ではない労働者81,876人を最大9年間追跡調査し、「少し高い血圧」の段階から脳・心血管疾患の発症リスクが高まることを今回の調査結果から確認することができました。さらに、脳・心血管疾患を発症した人の数は、血圧分類の「少し高い血圧」から「軽め高血圧」までの労働者に多いことがデータから裏付けされました。
 今回の結果は、就労世代では見過ごされがちな、「少し高い血圧段階からの血圧管理」の重要性を示すものであり、今後の取り組みの後押しとなると期待されます。
 本研究成果は、日本高血圧学会の国際誌「Hypertension Research」(電子版)に掲載されました。(日本時間2024年4月8日)


研究成果のポイント 
・「少し高い血圧(正常高値血圧:収縮期血圧 120-129 mmHgかつ拡張期血圧 80 mmHg未満)」の段
 階から脳・心血管疾患発症リスクが約2倍に上昇した。
・高血圧の治療中ではない人の中では、正常高値血圧からⅠ度高血圧(収縮期血圧 140-159 mmHgか
 つ/または拡張期血圧 90-99 mmHg)までの血圧区分から脳・心血管疾患を発症する人の数が最大と
 なった。
・就労世代においては正常高値血圧の段階から血圧管理に取り組むことが重要であり、企業や医師はそう
 した従業員の取り組みを後押ししていくことが期待される。


[画像1]https://digitalpr.jp/simg/1706/86495/400_278_2024041013491966161a4fdebe5.jpg

図1 高血圧治療ガイドライン2019における血圧分類*2と脳・心血管疾患発症リスク








研究背景

 脳・心血管疾患は日本人の死因の第2位であり、職場での労働損失の原因疾患としては第3位に位置することが報告されています。脳・心血管疾患の発症に対して高血圧が関係することは知られていますが、血圧分類はエビデンスの蓄積と共にアップデートされてきた歴史があります。最近では日本高血圧学会が高血圧治療ガイドライン2019において新たな血圧分類を提唱しました。
 しかしながら、この新しい血圧分類と脳・心血管疾患発症の関係を調べた日本の研究はほとんどなく、新たに定められた正常高値血圧の段階から脳・心血管疾患リスクがどの程度上昇するかははっきりしませんでした。また、過去の日本の研究は2000年代以前に測定した血圧値を用いた研究が多く、比較的高齢な人を対象とした研究が多いという課題もありました。近年は、救急救命技術の向上や喫煙率の低下といった脳・心血管疾患を取り巻く環境も変わってきています。過去の知見が現在の働く世代にどれほど適用できるかは不明瞭です。そこで、企業等に勤務する労働者を対象としたJ-ECOHスタディのデータを用いて、働く世代における最新の血圧分類と脳・心血管疾患発症との関係を調査しました。

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