海産微細藻類における窒素固定型シアノバクテリアのオルガネラ化(細胞内小器官化)の進行を明らかに
Digital PR Platform / 2024年4月15日 14時5分
高知大学自然科学系農学部門の足立真佐雄教授と海洋コア国際研究所の萩野恭子客員講師らの研究グループは、海産微細藻類の細胞内部において共生関係にあると考えられてきた窒素固定型のシアノバクテリアが細胞内小器官化(オルガネラ化)していることを明らかにし、窒素固定に関わるオルガネラとして分化の途上にある「ニトロプラスト」の存在を提唱しました。
この研究成果は、2024年4月12日(日本時間)発行のScienceに掲載され、同誌の表紙を飾りました。
<研究の要点>
海産の単細胞微細藻類であるハプト藻Braarudosphaera bigelowii(以下B. bigelowii)は、細胞内部にUCYN-Aと呼ばれる窒素固定型のシアノバクテリア由来の構造を持つことが知られています(図1)。このUCYN-AはB. bigelowii と共生関係にあると考えられてきましたが、培養が困難であったことから、これまで、その実態を十分に検証することができませんでした。
本研究では、高知県産の「ところてん」を原材料に開発された培地を用いて、UCYN-Aを維持した状態のB. bigelowii の単離培養株を確立し、その安定培養に初めて成功しました。確立した培養株を用いて、軟X線を利用した三次元構造解析を行った結果、UCYN-Aは宿主であるB. bigelowii の細胞内で、B. bigelowiiの分裂に同調して倍加・分裂したのち、B. bigelowiiの娘細胞に一つずつ受け継がれる様子が観察されました(図2)。このことは、UCYN-A の倍加・分裂が、B. bigelowii の細胞周期に組み込まれて制御されていることを示しています。さらに、プロテオーム解析※1を行った結果、B. bigelowiiの核コードタンパク質がUCYN-Aの内部から多数確認され、B. bigelowii からUCYN-Aへのタンパク質の輸送が行われていることが確認されました。以上の観察結果から、B. bigelowiiの細胞内部においてUCYN-Aの細胞内小器官化(オルガネラ化)が進行していることが明らかとなったため、窒素固定に関わるオルガネラとして分化の途上にある「ニトロプラスト※2」の存在を提唱しました。
※1 プロテオーム解析:細胞内に含まれるタンパク質を網羅的に同定する解析手法。
※2 ニトロプラスト:窒素固定を行う細胞内小器官(オルガネラ)、Nitroplast(nitro-:窒素の、-plast:構造体)
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