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アリ・アスターも舌を巻いた異形ホラー「オオカミの家」は音もすごかった! ヒットの要因、作品の聴きどころ座談会

映画.com / 2024年4月7日 10時0分

オノ:最近の作曲家さんは、イマーシブとかドルビーアトモスとか、天地方向の立体音響の試みもしているようですが、映画のサウンドデザインの基本は5.1ch。5.1chでもこんなことができるんだ、っていうお手本のような使い方だから、音響や音楽、サウンドスケープを勉強していたり、仕事にしたい人にとっても、これを聴いておくのはマストだと思います。

▼予想を超えたヒットの要因は?

編集部:昨年晩夏からのスマッシュヒットホラー作でしたね。ヨーロッパの名匠の良作の取り扱いが多いザジフィルムズさんでは、珍しいタイプの作品ですが、どのような観客層に向けて宣伝したのでしょうか? また、公開後に想定外のことなどありましたか?

笹川:日本で大ヒットとなった「ミッドサマー」(2019)のアリ・アスター監督が「オオカミの家」に惚れ込んだということで彼の名前を前面に出して、ホラーファンや、これも弊社配給のアニメーションのカルト的人気作「ファンタスティック・プラネット」を見に行ったような若い世代をターゲットにしました。ビジュアルも、デザイナーさんに怖い感じに作ってもらって。その時点でのリアクションが予想以上に盛り上がり、ターゲット層に届いたな、立ち上げはいい感じにいったなという手ごたえがありました。

 ただ、ホラーで売り出したものの、ものすごくアート作品だし、話はよく分からないし、チリの政治的な背景や文脈がわからないと理解が難しいところもあるので、騙しているわけではありませんが……正直、ホラーとして売って大丈夫かな? という不安はありました。

 ですが、公開前に映画ファン向けの試写会をオンラインでやってみたところ、好意的な感想をいただいたので、安心して公開を迎えられました。渋谷のシアター・イメージフォーラムでは1日5回が全回満席という日が週末だけでなく、平日にもあって。1週目は、アーティスティックなアニメーションを作っているクエイ兄弟やシュヴァンクマイエルの作品が好きだったような40~50代のお客様が多かったんです。だから、初動はこちらが見込んだ若い世代が来ていたわけではないのですが、それでも満席が続き、そのうちにだんだん、若い人たちが増えてきました。イメージフォーラム前で、制服姿の男子高校生3人組が前売り券を持っていたものの、満席で入れなかった様子だったのを見たのは驚きました。

山下:僕も男子高校生を川崎のチネチッタで見たんです。やっぱり3人組で、終わった後 「さっぱり分かんない」とか感想を言い合っていましたが(笑)、その世代まで届いていたのはかなり予想外でしたね。

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