新井浩文「役に引きずられる俳優はプロ失格」と一刀両断! 映画『葛城事件』インタビュー
Entame Plex / 2016年6月21日 19時0分
新井「監督にもそう伝えていたんですよ。オーデョションでいい人がいれば任せるし、いなければうちがやるって。でも、うちも含めて満場一致で『これは若葉くんでしょ』って感じでしたね」
若葉「うれしい……(笑)」
新井「役者って自分のイメージを壊す役に出会えるかどうかがすごく大事だと思うんです。でも、映画って大規模でメジャーになるほど、“安パイ”な役者を選びがちですよね。その点、今劇は若葉くんが演じることで、面白さが出ているんじゃないでしょうか」
――若葉さんには、赤堀監督からかなり激しい演技指導があったと聞きました。
若葉「『それは稔(次男)の生理じゃないよね。若葉くんの生理だよね』とか『まだ、先に頭で考えている』とか。何が正解か分からなくなっていって……」
新井「たぶんね、赤堀さんもわかってないと思う(笑)。イメージをガチガチに固める人じゃないんで、現場でその都度加えていく感じですよ」
若葉「そうですね。拘置所のシーンでオーケーが出たのと前のテイクが全然違いすぎていたりして……」
新井「ね(笑)」
――なんだか監督イジリみたいなインタビューになってきましたが……。新井さんに演技指導は?
新井「昔、亡くなった原田芳雄さんに『遊び相手の監督を見つけるのは人生で5人いればいいほうだ』と言われましたが、赤堀さんという人はまさに一生の遊び相手のひとりです。だから阿吽の呼吸で、向こうが何を求めているかすぐに分かるんです。演技指導は必要ありませんでした。でも、四六時中そんなに深く考えていませんよ、あの人(笑)」
――なんだか、どんどん赤堀監督のイメージが……。
新井「さっきも別室で難しそうな顔でインタビューに答えていましたけどね、何も考えてないですよ“監督風”を装ってますけど(笑)」
――でも、それなのにこんな脚本を書けるのはすごいですね。
新井「いえ。だからこそ書けるんですよ。うちらの日常ってドラマとは違うじゃないですか。シリアスな中に滑稽さもある。赤堀さんって、そういう空気感を出すのがものすごくうまいんです。セリフを噛んでもそれが自然であればオーケーを出しますし」
――なるほど。それでは、キャストについてお伺いします。それにしても、父親を演じた三浦友和さんはすごい迫力でしたね。
新井「でもうちは笑っちゃうんです。三浦さんはもちろん笑わそうと思って演じていないので、なおさら赤堀さんの狙いが浮き彫りになって、人生の愚かさが浮かび上がるというか」
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